今回は、FXトレードで重要な経済指標を15個紹介します。次の5つの項目に分けて、各経済指標の重要ポイントや見方を解説します。
チェックする必要が全くない経済指標を除き、重要度の高い経済指標を厳選しました。どの経済指標が重要なのか知りたい方にもおすすめです!
- 重要度 (★1~5で評価 5が最重要)
- 用語解説
- 重要ポイント
- 注意すべき通貨ペア
- 発表時期と時間
欧州の経済指標
日本の経済指標
まず始めに、米国の経済指標を9つ紹介します。米国の経済指標の多くは、FX相場に大きなインパクトを与えるものが多く、発表時間を常にチェックすることが大事です。
※★★★★★の指標は、発表時に相場が大きく変動する可能性が高いので、発表前にポジションを手仕舞うようにしましょう。
米国GDP (米国国内総生産) [★★★★★]
GDPとは、国内で生産された物やサービスの合計したもの。その国の経済の規模や動向を示す指標です。
一般的に、発表内容が良い結果の場合その国の通貨は「買い」と判断され、悪い結果だとその国の通貨は「売り」と判断されます。
重要ポイント
米国GDPには、「速報値」「改定値」「確報値」の3つがあります。注目度が一番高いのは速報値。次に確報値が注目されています。
確報値は、「速報値からどれくらい上下に修正されたか」「予想値とどれくらい乖離したか」が注目ポイントです。乖離幅が大きいほど、相場へのインパクトは大きくなります。
アトランタ銀行やNY連銀では米GDPの予想値を公表しており、そのデータに注目が集まっています。
注意すべき通貨ペア
米国GDPの発表では、ドルストレート(ユーロドルやドル円など)だけでなく、クロス円(ユーロ円やオージ円など)も大きく価格が変動するので要注意。
発表時間
速報値、改定値、確報値の順に毎月下旬に発表。
夏時間:21時30分 冬時間:22時30分発表
米国小売売上高 [★★★★★]
米国商務省が毎月発表する、全米の小売売上のデータ。米国のGDPの70%を個人消費が占めているため、米国GDPの先行指標として注目されています。
重要ポイント
総合指数が最も注目されています。また、変動の激しい自動車などを除いた指数も、個人の消費動向を把握するのに利用されています。
12月の結果(1月発表)は、クリスマス商戦により平均より3割増しになるので注意してください。
天候や季節要因による変動が大きく、速報値と改定値で値が大きく変わることもあります。
注意すべき通貨ペア
ドルストレートだけでなく、クロス円も大きく価格が変動することがあるので要注意。
発表時期と時間
毎月第2週 夏時間:21時30分 冬時間:22時30分発表
米国雇用統計 [★★★★★]
米国雇用統計は、米国の労働市場の状況を表したもの。為替市場に一番大きなインパクトを与えます。雇用統計の中でも、失業率と非農業部門雇用者数の2つが特に注目されています。
重要ポイント
発表直前(2・3時間前から)は、市場参加者の多くが様子見で相場が停滞する傾向があります。トレンドが発生しにくく、ブレイクアウトも騙しになりやすいので気をつけましょう。
発表直後は価格が上下に激しく動き、スプレッドが拡大します。雇用統計前にポジションを保有していた場合は必ず手仕舞いましょう!
注意すべき通貨ペア
ドルストレート、クロス円のほとんどすべてで大きく価格が変動するので要注意。短時間で一気に10~20pips以上動くこともよくあります。
発表時期と時間
毎月第一金曜日。夏時間:21時00分 冬時間:22時00分発表
ADP雇用統計 [★★★★☆]
ADP雇用統計は、民間の人事関連業務のアウトソーシング会社、ADP社が発表している雇用調査レポート。
雇用統計と同じ方式で雇用者数が算出されているため、雇用統計の先行指標として注目されています。
重要ポイント
雇用統計の2日前に発表。そのため市場参加者やアナリストは、この指標の結果を参考に雇用統計の結果を予測します。
つまり、ADP雇用統計の結果は雇用統計のコンセンサスに影響を与えているのです。
雇用統計の先行指標として注目されているため、ADP雇用統計も発表時に相場が急変動しやすいので注意してください。
注意すべき通貨ペア
ドルストレート(ユーロドルやドル円・ポンドドルなど)は要注意。
発表時期と時間
毎月、米国雇用統計の2日前の水曜日
夏時間:21時15分 冬時間:22時15分発表
FOMC&政策金利 (FF金利) [★★★★★]
FOMCはアメリカの金融政策を決定する会合。会合終了後、現在の経済見通しや政策金利(FF金利)が発表されます。
重要ポイント
発表された政策金利は、市場参加者の予想との乖離が大きいと相場に大きなインパクトを与えます。
例:0.25%の利上げ予想に対して、0.5%の利上げが発表された
日本時間で夜中に発表されます。夜中に大きく相場が変動する可能性があるので、FOMCがある日はポジションを明日に持ち越してはいけません。
注意すべき通貨ペア
ドルストレート、クロス円のほとんどすべてで大きく価格が変動するので要注意。
発表時期と時間
年8回、6週間毎 夏時間:3時15分 冬時間:4時15分発表
米国消費者物価指数 (CPI) [★★★★★]
消費者がモノを買う価格を指数化した指標。「インフレ率」とも呼ばれます。FRB(米国中央銀行)が発表する政策金利に影響を与えるため、注目度が高いです。
重要ポイント
インフレ率の目安は2%。2%を上回るとインフレ傾向、下回るとデフレ傾向と解釈されます。
インフレ率が2%から大きく変動すると、金融政策に変化がある可能性があり相場が不安定になります。
注意すべき通貨ペア
ドルストレートだけでなくクロス円も反応する。
発表時期と時間
毎月15日前後 夏時間:21時30分 冬時間:22時15分発表
ISM製造業景況指数 [★★★★☆]
全米約350社の購買担当者を対象に、。各企業の受注や在庫、生産など10項目についてのアンケートの集計結果したもの。製造業における景気動向の先行指標です。
重要ポイント
好悪分岐点は50。50を上回ると好況、50を下回ると不況と判断されます。
特に構成項目の「雇用指数」は、雇用統計の指針として重要視されており、雇用統計のコンセンサスに影響を与えています。
米国株との相関性が高く、ISMの結果発表で米国株が反応する傾向があります。
注意すべき通貨ペア
ドルストレートは要注意。価格が大きく動くときがあります。
発表時期と時間
毎月第1営業日 夏時間:23時00分 冬時間で:4時00分発表
失業保険申請件数 [★★★☆☆]
1週間に申請された失業保険の申請件数を示す指標。
米国の労働市場の状況を把握するのに役立ちます。また、景気の動きに先行する指標としても注目されています。
重要ポイント
申請件数40万件が好悪分岐点。40万件を超えると、現在の雇用環境は悪いと解釈します。
特に12日を含む週の結果が注目されます。この週の結果は、雇用統計のサンプルとして利用されるため、雇用統計との相関性が高いと考えられています。
注意すべき通貨ペア
ドルストレートは、価格が平均5pips動きます。クロス円への影響は小さいです。
発表時期と時間
毎週木曜日 夏時間:21時30分 冬時間:22時15分発表
中古住宅販売件数 [★★★☆☆]
米国の中古住宅の販売件数のデータ。全米の住宅販売の9割は中古住宅が占めるため、いくつかある住宅関連の指標の中で一番注目されています。
サブプライムショック以降、注目度が上がりました。
重要ポイント
住宅指標は金利、景気の動向と密接にリンクしています。そのため、景気動向を示す先行指標として使われています。
注意すべき通貨ペア
ドルストレートで3~5pipsほど反応します。
発表時期と時間
毎月25日 夏時間:23時00分 冬時間:24時00分発表
次に、重要度の高い欧州の経済指標を4つ紹介します。特に欧州の経済指標は、ドイツの経済指標が大きな影響力があり注目されています。
ECB政策金利 [★★★★★]
ECB(ヨーロッパ中央銀行)は、ユーロ加盟国の金融政策の中心となる組織。毎月2回理事会が開かれ、月の1回目で政策金利を決定し発表します。
政策金利の発表とその後の総裁記者会見で、相場が動きます。
重要ポイント
政策金金利発表の45分後に、ECB総裁の記者会見があります。会見で今後の金融政策やユーロの価格水準に関する言及があると、ユーロ市場に大きなインパクトを与えます。
会見中は総裁の発言で、相場が上下に乱高下することもあるので要注意。
注意すべき通貨ペア
ユーロ通貨(ユーロドルやユーロ円など)は要注意。ポンド円やポンドドルなど、ポンド通貨も反応することがたまにあります。
発表時期と時間
毎月第1木曜日 (たまに第2木曜日)
夏時間:20時45分 冬時間:21時45分発表
ユーロ圏消費者物価指数(HICP) [★★★☆☆]
HICPとは、EU加盟国内で比較可能な基準消費者物価指数。HICPは、政策金利に影響を与え、将来の政策金利の動向を予想する判断材料として注目されてます。
重要ポイント
ECBは、「HICPが前年比2%以下」を目標としています。
そのためHICPが前月比で2%を上回ったり、上回る可能性が高い場合、ECBの政策金利は引き上げられる可能性が高いです。
注意すべき通貨ペア
ユーロ通貨
発表時期と時間
速報値|毎月月末 夏時間:18時00分 冬時間:19時00分発表
改定値|毎月中旬 夏時間:18時00分 冬時間:19時00分発表
IFO景況感指数 [★★☆☆☆]
ドイツの約7000社の役員を対象に、ドイツ経済の現況と6ヶ月先の見通しについてアンケート調査を行って指数化したもの。景気先行指数の1つ。
2000年の指数を100として標準化し、これは好悪分岐点でもあります。
重要ポイント
ユーロ圏とドイツの両方が発表されますが、注目されているのはドイツの指数です。
ドイツ経済だけでなく、ユーロ全体の経済動向を見るのに使われます。そのため、ユーロ相場への影響力が大きいです。
注意すべき通貨ペア
ユーロ通貨やポンド通貨に影響を与えます。
発表時期と時間
毎月下旬 夏時間:17時00分 冬時間:18時00分発表
ZEW景況調査 [★★☆☆☆]
ZEW(欧州経済研究センター)が機関投資家とエコノミスト約350人を対象に行う調査。好悪分岐点は50で、50を上回ると景気が良く、50を下回ると景気が悪いと判断されます。
重要ポイント
IFO景況感指数より発表時期が速いため、IFO景況感指数の先行指標として注目されています。
注意すべき通貨ペア
ユーロ通貨
発表時期と時間
毎月中旬 夏時間:17時00分 冬時間:18時00分発表
最後に、日本の経済指標を2つ紹介します。日本の経済指標は、FX相場にほとんど影響を与えません。日銀金融政策決定会合と日銀総裁記者会見の2つをチャックするだけで大丈夫です。
日銀金融政策決定会合 [★★☆☆☆]
年8回開催される日銀の金融政策を決める会合。他の中央銀行と比べ注目度が低く、相場への影響度はほとんどありません。
重要ポイント
金利維持なら12~13時に、金利変更の場合13時過ぎに発表される傾向があります。
日銀の政策が注目されている状況では、発表が近づくと円を中心に相場が不安定な動きを見せます。
注意すべき通貨ペア
ドル円やクロス円が反応することもあります。
発表時期と時間
年8回 12時~13時ごろに発表 ※結果の公表の時間は定められていません
日銀総裁記者会見 [★★★☆☆]
日銀総裁が金融政策決定会合での決定事項やその理由を発表します。
重要ポイント
日銀の金融政策が注目されていると、総裁の発言で円を中心に相場が不安定に動きます。
注意すべき通貨ペア
ドル円やクロス円レートが動くことがあるので注意。
発表時期と時間
日銀金融政策決定会合の結果発表後の15時30分