フラクタルインジケーターは相場の転換点を表示しますが、その中には重要なブレイクアウト水準となる高値・安値も含まれています。
今回の記事では、MA・ATR・MTF分析を使ってこのフラクタル高値安値を特定する、フラクタルブレイクアウト手法を3つ紹介します。
※フラクタルの基本や使い方は、『【FX】フラクタルの5つの使い方』で詳しく解説しています
フラクタル(20,20)のブレイクアウト手法
フラクタルインジケーターのパラメーターは(2,2)が一般的です。
しかしこれは相場の細かな波をカウントするのが得意な反面、小さな転換点も捉えてしまうため、すべてのフラクタル高値安値が重要なブレイクアウト水準として機能しにくいです。
相場の重要な転換点をフラクタルで識別することができるようになるには、フラクタルのパラメーターを大きくすることが有効です。
下のチャートでは、パラメーター(20,20)のフラクタルを表示しています。これは以下のように、フラクタルポイントを定義します。
フラクタル(20,20)
- 強気のフラクタル:真ん中のローソク足の安値<左右それぞれの20本のローソク足の安値
- 弱気のフラクタル:真ん中のローソク足の高値>左右それぞれの20本のローソク足の高値
※MT4にデフォルトである「Fractals」はパラメーターを変更できません。上のチャートでは、パラメーターを変更できるインジ「Adjustable Fractal」を使用しています。
詳しくは、『【MT4】フラクタルインジケーター7選!』を参考にしてください。
このフラクタル(20,20)の高値安値は、トレンド相場において重要なブレイクアウト水準として機能します。
では、フラクタル(20,20)と50EMA&50WMAを利用した、ブレイクアウト手法のルールを解説します。
※WMA=加重移動平均線 →加重移動平均線(WMA)の使い方5選【トレンド相場で重宝】
買いエントリーの手順
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150WMA>50EMAの位置関係で、どちらも上向き上昇していることを確認
①の条件をみたすとき、下のように長期トレンドが発生しています。
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21つ目のフラクタル高値が50WMA上で発生したら、その高値に水平線を引く
この水準がブレイクアウトの水準になります。
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3②で引いた水準をローソク足が上抜けたら、買いエントリー
損切りは、ブレイク直前の安値の下にストップロス注文を置きます。
また、フラクタル高値が再び出たら手仕舞うのが安全な利食いのタイミングです。
他にも、MACDのダイバージェンスの発生や50WMA&50EMAのデッドクロスなども、利食いシグナルとして利用できます。
下のオージ円チャートで、売りのトレード例を見てみましょう。
2つ目や3つ目のフラクタル安値もブレイクアウト水準として利用できますが、1つ目と比べて成功確率が低くなります。
フラクタルとATRを使ったブレイクアウト手法
フラクタル(2,2)がある価格帯で密集して出現している場合、レンジを形成しています。
このうち、ボラティリティが大きく低下しているレンジは、価格が圧縮された反動によりブレイクアウトで大きく伸びる可能性が高いです。
このレンジ内でのボラの大きさを分析するのに、ATRボリンジャーを使うのがおすすめです。
関連記事 相場のボラティリティを解析!ATRボリンジャーの使い方を徹底解説!
買いエントリーの手順
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1フラクタルの高値安値が上下に頻繁に発生しているのを見つける
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2①のレンジ内で、ATRボリンジャーが低水準でスクイーズを形成しているのを確認
下のチャートでは、ATRボリンジャーのバンドが拡大しており、ボラティリティーが低い状態ではありません。
そのため、このレンジではブレイクアウトしても大きく相場は動きにくいです。
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3レンジ内の最も高いフラクタル高値をローソク足終値で超えたら買いエントリー
利食い:ATRラインがボリンジャーバンドの中心線をタッチしたら
損切り:レンジ下限ラインの下
上位足のフラクタルを使った手法
上位足チャートのフラクタル高値安値は、下位足で重要なレジサポラインとして注目されています。
特に、次の2つの上位足フラクタルの高値安値を下位足でブレイクアウトしたら、トレードのチャンスになります。
ブレイクアウト水準
- フラクタル(20,20)の高値安値
- フラクタル(2,2)が3つ以上重なっている水準
上の2つのトレード例をそれぞれ見てみましょう。上位足が1時間足で、下位足が5分足です。
例1
1時間足
・50WMA>50EMAであり、上昇トレンド中
・50WMA上でフラクタル(20,20)の高値が2つ発生し、これらはブレイクアウト水準になる
5分足
・1時間足フラクタル高値のブレイクアウト水準を終値で超えたら買い
・または、ブレイク後の反発で買うのもOK
例2
3つ以上のフラクタル(2,2)が同水準で連続して発生しているポイントは、重要なブレイクアウト水準になります。1つのフラクタルではブレイクアウト水準として弱いです。
1時間足
・20EMAが上向き上昇中で、中期の上昇トレンド発生中
・4つのフラクタル高値が連続して発生したので、この水準に水平線を引く(=ブレイクアウト水準)
5分足
・5分足では、ブレイクアウト水準の下でたくさんのフラクタル高値が出現している
・ブレイク後の5分足フラクタル安値出現は、初押し目買いのタイミング