ボリンジャーバンドをRSIに表示させた「RSIボリンジャー」が有名ですが、実はボリンジャーバンドはATRとも相性も良いのをご存知ですか?
ATRボリンジャーとは、ATRにボリンジャーバンドを表示したテクニカル指標で、ATRの動きをパターン化するのに役立ちます。
今回は、ATRボリンジャーの表示方法や見方&使い方を紹介します。ATRを使っている方は、ボラティリティ分析の幅を広げるためにぜひ試してみてください!
目次
- 9つのパターンに注目!ATRボリンジャーの見方
- ATRボリンジャーの便利な3つの使い方
・トレンドフォローの利食いシグナル!
・ボラティリティ・スクリーニング機能
・ボラティリティ・ブレイクアウト手法 - ボリンジャーバンドをATRに表示させる方法
9つのパターンに注目!ATRボリンジャーの見方
ATRボリンジャーは、ATRや±2σバンド・中心線の関係に注目することで、ボラティリティ(価格変動率)の状態を視覚的に把握することができます。
1.まず、ATRと中心線の位置関係をみて、現在のボラの状態をチェック!
ATRに表示したボリンジャーバンドの中心線は、ATRの値をもとに算出した移動平均線です。この中心線に対して、ATRが上にあるのか下にあるかで、現在の相場のボラティリティの状態がわかります。
もし、ATRが中心線より上で上昇しているときはボラが増加しており、逆にATRが中心線より下で下落しているときはボラが減少しています。
- ATR>中心線:ボラティリティ増加中
- ATR<中心線:ボラティリティ減少中
2.次に、中心線の向きで、ボラティリティの中期トレンドを把握します
ATRのラインは小刻みに上下動するため、ボラティリティの大きな流れを掴むのに不向きです。それに対して、中心線(20SMA)はATRより動きが緩やかであり、ボラティリティの中期の方向性を示します。
ボラが拡大している局面では、1本1本のローソク足の値幅は大きくなる傾向があります。逆に、ボラが縮小している局面では、実体の小さなローソク足が出現しやすいです。
3.また、±2σバンドの形に注目すると、ボラティリティの状態を次の4つのパターンに分けることができます
・上向きのバンドウォーク
ATRが+2σバンドにそって上昇しており、ボラティリティが高くなっていることを示しています。大量の買い注文(または売り注文)が活発に入っており、トレンドの発生やトレンド継続の可能性があります。
・高水準でのスクイーズ
ボラティリティが高い状態を維持していることを示しています。変動幅が大きいので、大きな値幅を取れるトレードチャンスです!
・下向きのバンドウォーク
ATRが-2σバンドにそって下降しており、ボラティリティが低下していることを示しています。トレンドの勢いが弱まり、トレンド終了の可能性があるので要注意です。
・低水準でのスクイーズ
ボラティリティが低い状態を維持しており、相場が停滞していることを示しています。これは、トレンドやブレイクアウトが発生する前兆であることが多いパターンになります。
また、ATRボリンジャーの上方向へのエクスパンションは、ボラティリティが急騰するサインです。この「低水準でのスクイーズ→エクスパンション」の流れは、ボラティリティ・ブレイクアウト手法に利用できます。詳しくは、下で解説します。
ATRボリンジャーの3つの便利な使い方
ATRボリンジャーは、利食いシグナルやボラティリティ・フィルター、ブレイクアウト手法として利用できます。この3つの使い方を順に解説します。
トレンドフォローの利食いシグナル!
ボラティリティは、相場の活気度を表しています。トレンド相場でのボラティリティの減少は、トレンドに追随するトレーダーが減少していることを示唆しています。
そのため、トレンド相場において、上昇しているATRが中心線を下抜けて下落したら、ボラティリティが低下しておりトレンドが終了する可能性があります。ポジションを保有している場合は、このタイミングで決済するのが安全です。
トレンドフォロー・ポジションの利益確定シグナル
上昇しているATRが中心線を下抜けたとき (ATRと中心線のデッドクロス)
上のチャートでは、下降トレンドが発生しており、ATRが+2σバンドにそって上昇しています。ATRが中心線を下抜けたら、保有している買いポジションを利食いましょう。
その後、ATRが下降してトレンドの勢いが弱まり、安値を更新できずトレンドが終了しています。
またレンジやトライアングルのブレイクアウトで、ブレイク方向のボリンジャーバンドが内側に閉じるのは利食いのタイミングとして利用できます。
上の相場では、ミニレンジのブレイクアウトで+2σバンドが内側に閉じたあと、ATRの急上昇が終了して大きく下落しています。
これはブレイクの上昇/下降の勢いが弱まっていることを意味しており、ブレイクアウトの終了につながることが多いです。利益を大きく伸ばさず、手堅く利益確定したい戦略を好むトレーダーにおすすめの利食いシグナルになります。
ボラティリティ・スクリーニングでボラの高い相場を選別!
ATRボリンジャーは、ボラティリティの高い相場と低い相場を選別するスクリーニング機能もあります。高ボラ・低ボラの条件は、次のとおりです。
高ボラティリティの条件 (1つでも満たせばOK)
- 中心線が上向き&ATRが上昇中 (ATR>中心線)
- +2σバンドにそってATRが上昇 (バンドウォーク)
- 高水準でスクイーズを形成
低ボラティリティの条件 (1つでも満たせばOK)
- 中心線が下向き&ATRが下降中 (ATR>中心線)
- -2σバンドにそってATRが下降 (バンドウォーク)
- 低水準でスクイーズを形成
ちなみに、デイトレードの場合、日足や1時間足のボラティリティに注目しましょう!
ATRボリンジャーを使って、日足や1時間足のボラティリティを調べてボラの高い通貨ペアをピックアップし、その日のデイトレを行うのがおすすめです。
ボラティリティ・ブレイクアウト手法に使える!
ボラティリティが長時間縮小して停滞していると、その反動で相場が一方向に大きく動きます。
ATRボリンジャーの「低水準でのスクイーズ→エクスパンション」は、この相場の動きを視覚的に捉えることができます。
上のチャートは、相場の急落を狙うボラティリティ・ブレイクアウト手法のエントリー例です。詳しくは、下記の記事で解説しているので、よければ参考にしてください。
関連 ATRボリンジャーを使った「ボラティリティ・ブレイクアウト」手法
MT4|ボリンジャーバンドをATRに表示させる方法
最後に、ATRのサブウィンドウにボリンジャーバンドを表示させる方法を解説します。
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1MT4メニューの「挿入→インディケータ→オシレーター→Average True Range」を選択し、チャート上にATRを表示
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2メニューの「表示>ナビゲーター」を選択し、ナビゲーターウィンドウを表示
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3ナビゲーターの「インディケータ→トレンド→Bollinger Bands」を選択し、ATR上にドラック&ドロップ
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4ボリンジャーバンドの設定で、適用価格を「Previous Indicator's Data」にする
※「Previous Indicator's Data」にすることで、ATRの数値をもとにしたボリンジャーバンドがサブウィンドウに表示されます。
もし、適用価格をデフォルト「Close」のままだと、ローソク足の終値データを基準とするボリンジャーバンドが表示してしまいます。
設定を終了したら、「OK」をクリックします。これでATRにボリンジャーバンドを追加できます。
まとめ
・ATRにボリンジャーバンドを表示させることで、ボラティリティの動きを視覚的に把握できます。
・ATRや±2σバンド・中心線の関係に注目して、ボラの状態や方向性を分析しましょう。
・ATRボリンジャーは、ボラティリティ・スクリーニングやボラティリティ・ブレイクアウト手法に使えます。
※TradingViewでATRにボリンジャーバンドを表示したい方は『TradingViewのRSIにボリンジャーバンドを表示する方法』をご覧ください