価格帯別出来高は、過去の一定期間における価格別の出来高をヒストグラムで表示したものです。
それぞれの価格水準でどれだけの取引が行われたか、市場参加者の過去の取引履歴を明らかにすることができます。
今回は、この価格帯別出来高の使い方&見方を10個紹介します。順張りや逆張りなど、あらゆるトレード戦略に取り入れることができるので、気に入ったものがあればぜひお試しください!
FXでの10の戦略
※今回の記事では、価格帯別出来高をMT4チャートに表示するのに、「VP-Range-v6」というインジケーターを使用しています。詳しくは、下記記事で紹介しています。
1.レジサポラインの特定
価格帯別出来高のヒストグラムが極大値となる価格水準は、過去に多くの取引が行われた重要水準です。
そのため、この水準はレジスタンスライン・サポートラインの候補として注目されています。
特に、ヒストグラムが最大となる水準はレジサポラインとして強く機能しやすいです。この水準では、何度も価格が上下動してもみあいやすいので要注意です。
下のチャートはドル円1分足です。1分足でも長期間にわたり、これらの水準で価格が反発しています。
2.前日の価格帯別出来高の極大値
「前日の価格帯別出来高」におけるヒストグラムの極大値は、翌日のレジスタンス&サポートラインの候補になります。
この水準は前日のポジションの建値決済やドテンの仕掛けが入るなど、翌日もトレードが活発に行われる水準になります。
極大値での出来高が大きいほど、レジサポラインの強度は強くなり重要度が増します。
3.レジサポラインの注目度(強度)を調査
キリ番・前日高値安値・ピボットポイントなどのレジサポラインが、実際の相場でどれくらい市場参加者が注目しているか調べることもできます。
ライン上の出来高(ヒストグラム)が小さい場合は、過去の取引量が少なく注目度が低いことを示しています。
下のチャートでも、キリ番(135.5円、140.0円)は強度が弱く、簡単に価格が通過しています。
逆に、出来高が大きいレジサポラインは注目度が高く、その結果「買い派vs売り派」による激しい攻防がこのライン上で繰り広げられます。
下のチャートでは、キリ番を中心に乱高下する荒れた動きをみせています。
4.【引力】出来高の大きなゾーンは、相場がもみあいやすい
下のユーロドルチャートでは、出来高の大きな2つの価格帯(=ヒストグラムが大きな山を形成している価格帯)をグレーで強調しています。
これらは、買い売りの激しい攻防が過去に繰り広げられた価格帯であり、価格がゾーン内部に侵入すると、不安定な上下動を繰り返す特徴があります。
このゾーンは一種のレンジであり、価格を強力に引き寄せる引力をもっています。
2つ目のレンジでは、価格がこの領域を抜けようと2度3度試みていますが、いずれも失敗しレンジ内に引き戻されています。動きが予測しずらいため、順張りで仕掛けるのはリスクが高いです。
そのため、仕掛ける場合は、次のような引力を利用した逆張り手法がおすすめ!
失敗確率の高いブレイクアウト1~2回目での、ブレイク失敗によるレンジ回帰を狙った逆張りスキャルピング
また、レンジ内の価格帯別出来高の合計が大きいほど、引力は強力になります。
上のチャートでは、1番下にあるゾーンがヒストグラムの累積面積が最も大きく引力が強いです。そのため、長期にわたってこのゾーンに価格が引き寄せられています。
5.大きなレンジ相場を生む価格帯
出来高の大きなゾーンが2つ以上隣接している価格帯では、下の相場のような幅の大きなレンジ帯を形成します。
この内部は引力が強いため、ブレイクアウトが成功しにくく、ブレイクアウトの騙しを利用した逆張りが有効です。
補足
TradingViewの固定期間出来高プロファイルでは、指定した期間における価格帯別出来高をチャートに表示することができるので興味がある方はぜひお試しください!
6.引力の差を利用したブレイクアウト手法
出来高の大きな価格帯が2つ隣接しているゾーンは、その引力差を利用したブレイクアウトトレードがおすすめです。
上のポンド円5分足では、ゾーンAでレンジを形成しており、その下にゾーンB・Cがあります。
この2つはゾーンAよりも出来高が大きく引力が大きいので、相場は強い売り圧力を受けている環境になります。
そのため、この引力により、上のレンジ相場は下方向へのブレイクアウトが成功する確率が高いと考えれられます。
利食い目標は次の2つです。
第1ダーゲット:ゾーンB
第2ターゲット:ゾーンC
7.出来高の薄い価格帯の特徴
ヒストグラムが谷を形成している部分は、出来高の薄い価格帯です。
このゾーンは取引量が少なく、レジサポ帯として働きにくいです。そのため、価格は抵抗を受けにくく、一方向にきれいに上昇/下降しやすいです。
上のチャートでは、出来高の大きな価格帯の間で出来高の薄い価格帯が発生しています。
このゾーンの特徴
- 価格は速い動きで通過しやすい
- 価格はもみあいにくく、レンジを形成しにくい
- 窓(ギャップ)が発生することもある
下のレンジのブレイクアウトでは、出来高の薄い価格帯を長大陰線で勢いよく下落しています。
またトレンドの後半では、新高値(安値)の価格帯の出来高が小さいと、トレンドを支える買い(売り)の新規注文が少なく、トレンドが継続しない可能性があります。
8.上位足の価格帯別出来高の使い方
上位足チャートの出来高の大きな価格帯内部にローソク足があるとき、下位足は長期のレンジ相場になりやすいです。
下のドル円1時間足チャートの囲まれたポイントを5分足でみてみましょう。
5分足では、2日間このゾーン内でもみあっています。方向感がない荒れた相場環境であるため、長期保有のトレードは難しく、短期的な逆張りトレードがおすすめです。
逆に、上位足の出来高の小さい価格帯では、下位足でトレンドが発生しやすいです。
5分足の上昇トレンドで、このゾーンを価格が超えると上値が重くなるので注意してください。
このように、上位足の価格帯別出来高の大きさは、下位足の相場環境に大きな影響を与えます。相場の環境分析における情報として利用してみてください!
9.ブレイクアウトの騙しを避けるコツ
ブレイクアウトのトレードでは、ブレイクアウト直後の水準に出来高の大きな価格帯がないかチェックしましょう!
下の相場では、レンジの上限ライン上と下限ライン下に、出来高の大きな価格帯があります。
これらのゾーンはそれぞれ強いサポート・レジスタンスとして、ブレイクアウトを妨害します。
そのため、レンジをブレイクアウトしても、ブレイク1波がこのゾーンを終値で超えることができなければ、ブレイクアウトは騙しである確率が高いです。
逆に、このゾーンをブレイク1波で超える場合は、ブレイクアウトの勢いが強く、成功確率が高いと考えれられます。
また下の相場では、チャネル下の価格帯は出来高が非常に小さいです。こういったケースでは、ブレイクアウト時に価格は強い抵抗を受けないため、勢いよく下落しやすいです。
10.トレンド相場での使い方
トレンド相場での順張りトレードでも、エントリー方向の価格帯別出来高の大きさに気を付けましょう。
下の上昇トレンドのように、価格帯別出来高が大きいと、上値が重く押し目買いの勝率は低いです。
良エントリーのタイミングは次の2つがあります。
- ゾーンのブレイクアウト買い
- ブレイク後のゾーンでの反発買い
損切りラインはゾーン(サポート帯)の下に隠すと、損切りにかかりにくいのでおすすめです。
また、トレンドラインやMAと価格帯別出来高の極大値が交わるポイントは、順張りの仕掛けポイントとして利用できます。