この記事では、Weeklyオプションの特徴や基本戦略を解説します。
Weekly(ウィークリー)オプションは、経済指標や市場ニュースなど、特定のマーケットイベントを狙った短期のオプション取引が可能です。
マンスリーオプションよりリスクが抑えられるため、オプション取引初心者におすすめです!
Weeklyオプションとは?
Weeklyオプションとは?
満期日である毎週金曜日の寄り付きで決まる日経225(SQ値)を、あらかじめ定められた権利行使価格でオプションの権利を買い売りする取引
Weeklyオプションは、毎月ではなく毎週金曜日に満期切れになることを除いて、通常のマンスリーオプションとほぼ同じです。
マンスリーオプションとの共通点は、次の6つです。
共通点
- 権利行使価格は、125円刻み
- 日経平均255の1000倍の取引が可能
- オプション買いの損失は、支払ったプレミアム代金に限定される
- オプション売りの損失は、無限大なので危険
- オプション買いは証拠金必要なし
- プレミアムが上昇し利益が出たら、満期日までに利益確定可能
※マンスリーオプションは毎月第2金曜日の寄り付きが満期です。
そのため、第2週のマンスリーオプションの取引は、週末に満期を迎えるためweeklyオプションと同じといえます。
Weeklyオプションのメリット&デメリット
Weeklyオプションのメリットは、次の4つです。
メリット1
満期日は毎週金曜日ある ※マンスリーオプションの満期日である第2金曜日は除く
満期日は週1回(毎月3~4回)あるので、ポジションの保有期間を短くすることができ、リスクを限定できます。
メリット2
時間的価値がほとんど残っていないので プレミアムがマンスリーオプションより安い
満期日までの時間が短いほど時間的価値が低くなるため、オプション・プレミアムは低くなります。
Weeklyオプションは基本、本質的価値のみ注目すればOKです。
メリット3
経済指標や金融政策、地政学的リスクの発生など、特定の市場イベントをターゲットにした短期のオプション取引が可能
メリット4
オプション価格の動きが速くなる傾向がある
WeeklyオプションのATM近くのδ(デルタ)は、マンスリーオプションに比べて原資産(日経平均株価)の価格変化に対する反応度が高い傾向があります。
つまり、Weeklyオプションは高いγ(ガンマ)をもち、オプション価格は急速に変化しやすいです。
・δ(デルタ):原資産の価格変化に対する、オプション価格の変化率
・γ(ガンマ):原資産価格が動いたときの、デルタの変化率
下の画像は、3つの異なる期間(満期日までの残り日数=3日、5日、10日)におけるガンマのグラフです。
ATM周辺のガンマを見てください。
満期日までの残り日数が少ないオプションほど、ガンマはATMに近づくほど大きく上昇しています。
これはデルタの変化が速く、オプション価格の動きが速いことを意味しています。
Weeklyオプションのデメリットは、次の2つです。
デメリット1
出来高がマンスリーオプションに比べて少ない
特に、月曜日・火曜日の出来高少なく、流動性が低いので要注意!
水曜日・木曜日は、満期日が近づくことで取引量が増え流動性が増加します。
デメリット2
Weeklyオプションはマンスリーオプションに比べて取引機会が多いため、取引の頻度が増え取引コストが高くなりやすい
Weeklyオプション買いの基本戦略3選
Weeklyオプションでは、「本質的価値を狙い、満期日にイン・ザ・マネーになりやすい権利行使価格を選ぶ」ことが大切です。
月曜日~水曜日に事前にプレミアムを安く買い、満期(金曜日)までの価値の急増で高く売る
具体的に、次の3つの基本戦略が有効です。
基本戦略1
Weeklyオプションで利益を上げるためには、その週で原資産(日経平均株価)が十分なボラテリティ(株価の変動率)をもっていることが必要です。
原資産のボラが低いと、オプション価格の動きが鈍く、権利行使価格に到達する確率が低くなります。
※日経平均のボラテリティの状態は、HV(ヒストリカル・ボラテリティ)指標で分析するのがおすすめ!
HVは相場の過去のボラテリティを数値化した指標で、今後のボラテリティの大きさを予測するのに役立ちます。
上の画像は、日足の日経平均チャートです。
直近の高値を超え、HVが大きく上昇しているので、来週の日経平均市場は高いボラテリティが期待できます。
基本戦略2
大きな利益を上げるためには、オプションを安く買うことが大切です。
Weeklyオプションで安く買うには、次の2つの方法があります。
方法1
時間価値のほとんど残ってない満期日直前(木曜日)に買う
満期日直前の木曜日は時間的価値が最小であるため、プレミアムを最安で買うことができます。
インパクト大のニュースが予測されるなら、超短期で大きく稼くことができます。
※木曜日のWeeklyオプションは、出来高が最も大きく流動性が高いため、取引しやすい環境になっています
方法2
IV(インプライド・ボラテリティ)が低い権利行使価格を選ぶ
Weeklyオプションは、権利行使価格ごとにそれぞれ異なるIV値をもっています。
IVが10~20%と低い権利行使価格の中で、ITM(イン・ザ・マネー)になりそうなオプションを買いましょう。
また、IVが50%を超えたら満期を待たずに売るのがおすすめです。
IVが50%まで高まると、プレミアムは割高になり、オプションの供給(売り)が増加して売り圧力が高まります。
関連記事 【将来の変動幅を予測】インプライドボラティリティの見方&使い方を徹底解説!
基本戦略3
Weeklyオプションでは、満期日までの日数がマンスリーオプションに比べて少ないので、価格が権利行使価格に到達するために、相場を大きく動かすマーケットイベントを利用することが大切です。
日経225を動かすイベント例
・日米欧の金融政策の大きな変更
・コンセンサスと大きく乖離した経済指標の結果
・地政学的リスクの発生
事前に、値動きを生むイベントがないか調べましょう!
※国内・海外市場の重要イベントは、「市場スケジュール|Trader’s Web」で確認できます
取引例
悪材料のサプライズニュースが発生し、日経平均株価(日経225)が急落すると、プットオプションの価値が高まり、プットオプションの価格が急増する
→ITMとなるプットオプションを安く買う
Weeklyオプションの3つの基本戦略
- 日経平均株価のHVを分析し、ボラティリティが高まっている週を探す!
- IVが低い権利行使価格を選び、安価なプレミアムのオプションを買う
- 特定のマーケットイベントによる、オプションの価値の急増を狙う
動画で学べるWeeklyオプション戦略
Weeklyオプションの実践的な戦略が学びたい方は、下記の動画がおすすめです。
アメリカのWeeklyオプション
日本のWeeklyオプションはの対象は日経225のみですが、アメリカでは個別株・株価指数・ETFなど豊富なWeeklyオプションがあります。
アメリカのWeeklyオプション例
- 個別銘柄:アップル(AAPL)、ゼネラルモーターズ(GM)、グーグル(GOOGL)
- 株価指数:SPX(S&P 500)、OEX(S&P 100)、DJX(Dow 30)
- ETF:QQQ 、SPY、IWM 、GLD
アメリカのオプション取引については、下記サイトの記事が参考になります。
アメリカのオプション市場について|Think180around