この記事では、トレンド分析指標『アルーン』について、次の4つの項目を解説します!
【FX】アルーンとは?
アルーンは、トレンドの発生・終了やレンジ相場入りのタイミング、またトレンド相場の強さを判断するトレンド分析指標で、
シャンデモメンタムオシレーター(CMO)を開発したトゥシャール・シャンデ氏が開発しました。
アルーンは、直近n本のローソク足において、最高値(最安値)を記録したローソク足の期間数(=最高値・安値に到達してからの経過時間)をもとにトレンドの勢い・方向性を分析します。
アルーンは次の2つの計算式で構成されており、アルーンアップは上昇の強さを測定し、アルーンダウンは下落の強さを測定します。
計算式
- アルーンアップ = (期間n – 最高値を記録したローソク足の期間X) ÷ 期間n × 100
- アルーンダウン = (期間n – 最安値を記録したローソク足の期間Y) ÷ 期間n × 100
※パラメーターnは25が一般的です
簡単な計算例を見てみましょう。
上のチャートでは、直近25本(n=25)のローソク足において、過去13本前の足(X=13)で最高値を記録し、1本目(現在の足 Y=1)の足で最安値を記録しています。
・アルーンアップ = (25-13) ÷ 25 × 100 = 48%
・アルーンダウン = (25-1) ÷ 25 × 100 = 96%
このように、価格の変化率に注目する従来のオシレーター(RSIやモメンタム)と違って、アルーンは時間に注目して相場の勢い・方向性を分析する珍しい指標になります。
アルーンの見方
アルーンは0~100%の範囲を振幅します。
- アルーンの数値が高い(80~100%):直近の新しい足で最高値・最安値を更新している
- アルーンの数値が低い(0~20%):最高値・最安値を直近の足で更新していない
上のチャートでは、アルーンアップが100%に近い水準で張り付いています。これは直近数本のローソク足において、連続して高値を更新していることを表し、強い買い圧力が発生していることを示唆しています。
また、アルーンダウンは下向き下落しており、売りの勢いが失われていることがわかります。
このように、アルーンアップやアルーンダウンの数値や方向で相場の勢いや方向性を調べることができます。
では、具体的な見方・使い方を見ていきましょう!
※MT4やMT5では、アルーンのインジケーターを利用できます。
>【MT4】アルーンインジケーターを3つ紹介!
>【MT5】アルーンインジケーター5選!
アルーンを使った、トレンドの発見&解析法
アルーンアップとアルーンダウンの関係性で、トレンド相場を簡単に識別することができます。
トレンド判定法
- アルーンアップが70~100%間にあり、ADが0~30%間で推移:上昇トレンド発生中
- アルーンダウンが0~30%間にあり、ADが70~100%間で推移:下降トレンド発生中
下の上昇トレンド相場で、具体的に見てみましょう。
上昇トレンドでは、大部分においてアルーンアップがアルーンダウンより上にあります。
アルーンアップが下落して70%水準を下回ると、押し(調整下落)に入ります。
アルーンアップがアルーンダウンを下抜けて、再度上抜け(=ゴールデンクロス)たら、押し目買いを仕掛けるタイミングになります。
また、アルーン・ダウンの転換(山の形成)は、押しの底とリンクすることが多く、この発生で押し目買いを仕掛けることもできます。(ゴールデンクロスよりエントリータイミングが早いです)
メモ
アルーンアップとアルーンダウンのクロスは、買い売りのパワーバランスが逆転したことを意味します。
上昇トレンドにおいてアルーンアップ<アルーンダウンの局面は、一時的に売り派の力が買い派を上回っているので、AUがADを再度上回るまでは買いを仕掛けるのは控えましょう。
注意点として、アルーンアップが100%水準で張り付いている場面は、浅い押し目で上昇するので、押し目買いを仕掛ける場合は乗り遅れないように気を付けましょう。
他にも、アルーンアップの100%水準の張り付き度合い(=高値の連続更新)で、上昇トレンドの強さを測定することができます。
ポイントAでは、アルーンアップが70%以上で約8個の山を作って上昇の強さを見せていますが、ポイントBでは山が2つ、ポイントC・Dでは1つになり、上昇の勢いが弱くなっていることがわかります。
また、押し目でのアルーンアップを見ると、トレンド初期では50~70%以内にとどまっていますが、トレンド後半では30%を下回っています。
ポイントEのように、押し目でアルーンアップが0%水準に張り付くと、押し目が失敗しずるずると下落する可能性が高いので注意してください。
注意点
トレンド相場では、アルーンは逆張りシグナルや利食いシグナルとして機能しにくいです。
たとえば、アルーンアップが100%に到達しても、価格が反転下落することなく、そのまま価格が上昇するケースがよくみられます。
また、アルーンアップの70%下抜けやアルーンダウンとのデッドクロスでは利食いシグナルとしては発生タイミングが遅いためおすすめできません。
ちなみにレンジ相場では、アルーンの100%到達→反転下落(山形成)は逆張りエントリーシグナルとして活用できます。
レンジ相場でのシグナル
- レンジ相場の高値圏:AUが100%近くに到達したら逆張り売りの仕掛けチャンス
- レンジ相場の安値圏:ADが100%近くに到達したら逆張り買いの仕掛けチャンス
※期間50のアルーンでトレンドを見つけることもできます。
アルーン(50)の場合、中期~長期上昇トレンド中は、アルーンアップがアルーンダウンより常に上にあり、アルーンダウンは50%下で推移しています。
アルーンダウンが上昇して50%を超え、アルーンアップを超えたら上昇トレンド終了が近いので気を付けてください。
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アルーンを使った、レンジの見つけ方&ブレイクアウト戦略
下の相場のように、アルーンアップとアルーンダウンが平行に下降して0%水準へ向かうポイントはミニレンジになります。
その後、方向転換して100%水準に到達した方向がエントリーを仕掛ける方向になります。
上のミニレンジでは、アルーンアップが100%水準に到達したら、買いを仕掛けるタイミングになります。
また、アルーンアップとアルーンダウンがともに50%未満で推移しているポイントもレンジ相場になります。
両方のアルーン(25)が50%未満であるのは、直近13本のローソク足で25本の最高値・最安値を更新していないことを意味しており、相場が横ばいであることを示しています。
ちなみに、スケールの大きなレンジ相場を見つけたい場合は、アルーンの期間を大きくしましょう。
たとえば、下のチャートでは期間100のアルーンを表示しています。
アルーンオシレーターとは?
アルーンオシレーター(AO)は、アルーンアップとアルーンダウンの差を測定する指標です。
計算式
AO = アルーンアップ - アルーンダウン
AOの範囲は-100~100で、AOと0%水準のクロスはアルーン・アップとアルーン・ダウンのクロスに対応しています。
基本的な見方
- AO>0:アルーンアップ>アルーンダウン → 買い圧力が勝る相場環境
- AO<0:アルーンアップ<アルーンダウン → 売り圧力が勝る相場環境
- AOが0水準を中心に上下動:方向感のないレンジ相場を形成
- AOが50%水準を上回る:価格の急上昇が発生中
- AOが50%水準を下回る:価格の急落が発生中
※TradingViewではアルーンやアルーンオシレーターが利用できます
表示方法
インジケーター検索欄で、「aroon」または「aroon oscillator」と入力してクリックする