この記事では、FXトレードで使える具体的なトレーリングストップ戦略を8つ紹介します!
ストップロスを最初の損切水準に固定し、価格が順行するも利食い水準に到達するまえに大きく逆行して損切になり、結果的に負けトレードになった経験はありませんか?
トレーリングストップを使えば、相場が大きく逆行しても利益の一部を確保して、負けトレードになるはずだったトレードを勝ちトレードで終わらせることができます。
他にも、トレンドの動きにうまく追跡して利益を大きく伸ばし、トレードの損益比を大きく改善するメリットもあります。
トレーリングストップとは?
トレーリングストップとは、ポジション保有時に価格がエントリー方向に動くのにあわせて、損切水準を一定間隔を保って引き上げる戦略です。
特に、トレンドやブレイクアウトなど、一方向に大きく動く相場での順張りトレードで有効です。
基本的なトレーリング戦略
- 買いポジション:相場が高値を更新するたびに、直前安値下にストップロスを移す
- 売りポジション:相場が安値を更新するたびに、直前高値上にストップロスを移す
たとえば、下のチャートでは、ローソク足終値がトレンド高値を上抜けるたびに、ストップロスを直前の押し安値下に動かしています。
トレーリングストップは、保有ポジションの含み益の一部を確保するため、または損失を減らすために用いられます。
そのため、価格が順行したときのみストップロスを引き上げ、価格が逆行したときはストップロスを引き下げずその位置で固定します。
トレーリングストップのコツと注意点
トレーリングストップのコツは、ストップロスの幅をきつくしすぎないことです。
ストップロスが現在の価格に近い水準に置くと、調整局面における短期的な価格の逆行に巻き込まれ、利益を大きく伸ばす前に利益確定してしまうケースが増えます。
たとえば、ローソク足終値で直近高値を超える前に直近安値下にストップロスを移したり、小さなスイング波の押し安値にストップロスを移すのは危険です。
また、ストップ幅が広いとストップロスがかかりにくいですが、確保できる利益が少なくなるデメリットがあります。
たとえば、下のチャートでは、200EMAにそってストップロスをトレーリングしましたが、相場の急落後にエントリー水準近くで手仕舞い、大きく利益を逃しています。
注意点として、適切なトレーリングストップの位置や幅は、トレンドの動きや相場のボラティリティで異なります。
そのため、個々のトレードの相場環境や各トレード手法に最適なトレーリングストップ戦略を選ぶことが大切です。
では、具体的なトレーリングストップ戦略を順に8つ見ていきましょう!
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一目均衡表の雲を使ったトレーリングストップ戦略
買いポジションでは、雲の下限ラインにそってストップロスを切り上げます。
雲の上限ラインがサポートラインとして上昇トレンドを下支え、価格がストップロスに到達するのを防いでくれます。
上の相場のように、長期トレンド相場で機能しやすい戦略です。
下降トレンド相場では、雲の上限ラインがトレーリングストップの位置になります。
デメリットとして、雲の位置が価格から離れており、トレンドの天井や底近くで利益確定できず、利益の一部を逃してしまいます。
特に、ブレイクアウト相場では価格の急な動きに雲が追尾できないため、ブレイクアウト終了後に相場が急反転すると利益を大きく逃すケースがあります。
また、レンジ相場では雲が横ばい推移するため、逆張りトレードのトレーリングストップとしては利用できません。
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ZigZagを使ったトレーリングストップ戦略
ZigZagを使うことで、トレンド相場の押し安値や戻り高値にストップロスを置くことができます。
次の上昇トレンド相場では、デフォルトパラメーター(12,5,3)のZigZagを表示しています。
ZigZagの安値が形成されるたびに、その安値下にストップロスを移します。
価格の押し安値下抜け(=トレンド転換シグナル)で手仕舞うことができ、トレンド終了直後の早い段階で利益確定できます。
小刻みにストップロスを引き上げて利益を保護したい場合やトレンドの継続期間が短いと判断した場合は、ZiggZagのパラメーターを小さくしてください。
下のチャートでは、パラメーター(5,3,3)のZigZagを表示しています。
フラクタルを使ったトレーリングストップ戦略
フラクタルの高値安値を利用すれば、ZigZagより細かい波の高値安値にストップロスを置くことができます。
フラクタルについては→【FX】フラクタルの8つの使い方【初心者推奨インジ】
押しの浅い強いトレンドやブレイクアウト相場で、損切幅をタイトにしてトレーリングすることができます。
逆に、押しの深い緩やかな勢いのトレンド相場では損切にかかりやすく機能しにくいです。
ボリンジャーバンドを使ったトレーリングストップ戦略
ボリンジャーバンドの±2.5σバンドや±3σバンドをトレーリングストップに利用することができます。
※±2σバンドでは、トレンド相場中に価格がラインにタッチする頻度が高く、トレーリングストップの位置には不向きです
買いポジションでは、‐3σバンドが上昇するたびにストップロスをその位置に引き上げます。
‐3σバンドが下落した場合は、ストップロスは引き下げず現在の位置で固定します。
ATRのように、ボラティリティの大きさに合わせてストップロスの位置を自動調整しトレンドを追跡できます。
上のチャートでは、ボラティリティが大きい上昇トレンドで、激しく上下に動きながら上昇しています。
ボラの拡大により、±3σバンドの幅も拡大し、現在の価格から離れた位置にストップロスを置くことができます。
補足
ボリンジャーバンドを使ったトレーリングストップ戦略は使いたい方は、「BB Stops」インジケーターがおすすめ!
このインジは、トレンド方向に動くバンドの軌跡を結んだラインを表示し、トレーリングストップの位置を示してくれます。
移動平均線を使ったトレーリングストップ戦略
移動平均線で押し目買い・戻り売りを仕掛ける場合は、移動平均線を使ってトレーリングすることも可能です。
次の下降トレンド相場では、20EMAで反発下落しており、ここで戻り売りを仕掛けています。
20EMAで反発したトレンド相場はその後、20EMAや10EMAで反発を繰り返しトレンドが進行する傾向があるため、トレーリングストップは50EMA上に置くのが有効です。
また、50EMAでの反発で仕掛ける場合は、100EMAのラインにそってストップを動かします。
他にも、ブレイクアウト2波・4波において10EMAの反発で仕掛けた場合は、20EMAを利用してトレーリングストップを置きます。
※移動平均線を使って自動でトレーリングしたい方は、EA「Trailing Stop」がおすすめ!
詳しくは→ 【MT4】自動でトレーリングストップを実行してくれるEA7選!
Nバートレーリングストップ戦略
ローソク足数本で利益確定するスキャルピングや逆張りトレードでは、Nバートレーリングストップ戦略がおすすめです。
ルール
- 新しいローソク足が完成するたびに、直近2~3本のローソク足の最高値(最安値)にストップロスを移す
下のチャートで、具体的に見てみましょう。
下降トレンド相場の大底で、短期的な逆張り買いをしています。
ストップロスの幅が非常に狭いため、小さな価格の反転ですばやく利益確定することができます。
パラボリックを使ったトレーリングストップ戦略
パラボリックは、ブレイクアウトトレードのトレーリングストップに最適なテクニカル指標です。
下のチャートでは、デフォルトのパラメーター(ステップ0.02、最大0.2)のパラボリックを表示しています。
メリット
- ブレイクアウトが加速すると、パラボリックも加速してブレイクアウトを追跡します
→ブレイクアウトが終了するまえに素早く利益確定できます - 最初のパラボリックは動きが鈍いため、ブレイクアウト開始時点でのストップロスは動く幅が小さく損切にかかりにくい
また、ストップロス幅を緩やかにしたい場合は、ステップ値を小さくします。(陽転・陰転の頻度が減ります)
次のチャートでは、(ステップ0.005、最大0.2)のパラボリックを表示しています。
ただし、トレンド相場では押し・戻しでパラボリックが陰転・陽転してしまい、利益を伸ばすことができません。
トレンド相場でトレーリングストップを使いたい場合は、上位足のパラボリックがおすすめです。
次の5分足チャートでは、30分足パラボリックを表示しています。
押し局面における調整下落でもパラボリックに価格がタッチすることなく、トレンド終了近くまで利益を伸ばすことができました。
※MT4で上位足パラボリックを表示するインジは、『パラボリックのMT4インジケーター6選!【MTF・アラート・トレーリング】』で紹介しているのでよければ参考にしてください
※『MT4プロコントローラー改』では、パラボリックを活用したトレーリング自動決済機能や時間指定の自動決済機能が利用できます。
他にも次のような機能が搭載されているので、興味がある方はぜひお試しください!
- 保有ポジションの現在獲得pipsの数値を、ポジションごとにチャートに表示
- 全保有ポジションの合計獲得pipsに応じた自動で利食いを行うオートクローズ機能
→ 例:ポジション全体で+20pipsに到達したら利益確定 - リアルタイムチャートをワンクリックで画像保存
ATRを使ったトレーリングストップ戦略
ATRを使えば、相場のボラティリティを考慮して、トレーリングストップの幅を決定することができます。
ルール
- 買いポジション:ローソク足安値 - ATR ×α
- 売りポジション:ローソク足高値 + ATR ×α
下のチャートでは、ローソク足高値+20期間ATR×5、ローソク足安値-20期間ATR×5の位置にラインを表示しています。
※ATRを使ったトレーリングストップ戦略として、「シャンデリア」があります。
これはアレキサンダー氏が「投資苑2」で紹介したルールで、計算式は次の通りです。
シャンデリアのルール
- 買いポジション:直近N日間の最安値 - ATR ×α
- 売りポジション:直近N日間の最高値 + ATR ×α
MT5のシャンデリラインジケーターは、「Chandelier exit」でダウンロードできます
補足
移動平均線からATRの数値分離れた位置にトレーリングストップを置きたい場合は、ケルトナーチャネルを使いましょう。
ケルトナーチャネルは、MA±ATR×αの2本のバンドを移動平均線の上下に表示する指標です。
詳しくは→ケルトナーチャネルの使い方講座【環境認識・トレイリングストップ戦略・ブレイクアウト手法】
トレーリングストップに使うATRの係数αは1.5が基本で、ストップロス幅を狭くしたい場合は1.0、ストップロス幅を広くしたい場合は2.0にしましょう。
ケルトナーチャネルの中心線(MA)の期間は、短期~中期のトレンドに乗りたい場合は20、長期トレンドに乗りたい場合は50~100にします。