ジャック・D. シュワッガー著 「マーケットの魔術師」は、FXや株式相場の世界で成功を収めた投資家やトレーダーのインタビュー集です。
今回の記事では、「マーケットの魔術師」の中から、次の5つを学べる名言・金言・教訓を23個紹介したいと思います。
- トレード手法の裏にある重要な概念
- 優れたトレーダーの共通点
- 勝つために知っておくべき相場の本質
- トレーディングで多くの人が犯す過ち
- トレーダーを目指す人へのアドバイス
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トレード手法の裏にある重要な概念
ファンダメンタル・テクニカル・場味、この3つがそろった時、初めて最高のトレードが可能になる。
――マイケル・マーカス
優位性の高いトレードチャンスは、次の3つの条件をすべてクリアしています。
・ファンダメンタル:ファンダメンタル分析で相場の大きな流れを掴む
・テクニカル:現在の相場のトレンドの方向が、ファンダメンタルが形成する大きな流れと一致しているか、チャート分析で確認
・場味:ニュースや経済指標などの材料で、相場が本来の方向へ正常に反応しているか
このようなトレードアイデアの実行条件が全て整ったとき、最高のトレードをすることができます。1つでも条件が欠けている場合、そのトレードチャンスを見送る勇気もトレードで成功する上で必要です。
非常に多くの人がシステムを使っているので、以前ほど上手く機能しなくなった。同じことをやる人が多くなりすぎた時には、市場はいつも調整局面に入るのだ。
――ゲーリー・ビールフェルド
トレードシステムの収益性には周期があります。手法がうまく機能すると他の多くのトレーダーも同じポイントで仕掛けてくるようになり、一時的にその手法は優位性を失います。
そしてドローダウン期間に入ってその手法の人気がなくなると、再び手法が機能し始めるようになります。
この収益性のサイクルにうまく付き合うことが安定して稼ぐコツです。システムが機能しない期間はできる限り損失を抑え、勝てる期間に大きく稼ぐ。これが相場で稼ぐためのスキルの1つです。
ブレークアウトするような理由や材料が思いつかないような時に突然ブレークしたならば、儲けられる確率は高い。
――ブルース・コフナー
人間の感情は、相場を動かす最も大きなエネルギーです。多くのトレーダーが予測しないブレイクアウトは、恐怖や期待の強い感情を巻き込んで相場が大きく動きやすいです。
逆に、多くのトレーダーがその値動きについて注目しブレイクアウトの発生を期待しているときほど、そのブレイクアウトはダマシになる可能性は大きいです。
ブレイクアウトが突発的に生じたものなのか、ブレイクを期待した市場参加者によって人為的に引き起こされたものなのか、テクニカル分析やファンダメンタル分析などあらゆる観点で見極めるスキルを養いましょう。
どんなに良くても、だった1つのシステムを使うことはしない。バランスを保つために、短期から長期までを目標においた複数のシステムを使う。
――ラリー・ハイト
1つのトレードシステムを使って、あらゆる相場で利益を上げることができません。どのシステムにも向き不向きがあり、トレンド相場で機能するものもあれば、レンジ相場で機能するものもあります。
手法を構築するときは、トレンド特化型(トレンドフォロー手法)やレンジ特化型(レンジ内逆張り手法)など、個々の相場に適したスペシャリストを開発することが大切です。
リスクを分散するために特化型手法を複数用意して、トレンド相場・レンジ相場それぞれで安定して稼げるようにしましょう!
優れたトレーダーの共通点
客観性だよ。優れたトレーダーは物事に固執しないんだ。
――マイケル・マーカス
常識やセオリーを疑ってください。トレードの参考書に書いていることが正しいとは限りません。
常識に囚われずにいろいろな視点・アイデアで相場を見てください。大衆と同じように考え行動していては、相場の世界で成功することができません。
世間一般の非常識が成功者の常識です。
私にとってトレードとは、自分に多少有利に歪んだサイコロの目に賭けるようなものだ。
――リチャード・デニス
個々のトレードの勝ち負けは誰にも予測不可能です。一流のトレーダーでさえ、次のトレードが勝てるかどうかわかりません。
自分の資金の1回1回の増減に一喜一憂して振り回されてはいけません。個々のトレードのランダムな結果ではなく、ルールを守ったトレードを1つ1つできているかに意識を向けましょう。
制御不能な結果ではなく、コントロール可能なプロセスを目標にすることで、精神的なプレッシャーが軽くなります。
僕だけじゃなくて多くの優秀なトレーダーは相場に対して本当に臆病だと思う。その相場に対する恐怖心が、僕のトレードにおけるタイミングをより正確なものにしてきた。
――マーク・ワインスタイン
優秀なトレーダーは、「全てのシグナルが一致した完全なタイミングである」と確信したチャンスだけトレードします。
もし絶対なる確信がなければ、かなり勝率が高いと思えるトレードチャンスも見送ります。
トレードが僕の人生そのものであり、それに情熱を燃やしている。趣味だとか、ただの職業の選択とかいうことではない。僕はトレードこそ僕の天職だと思っている。
――エド・スィコータ
相場は競争の激しい世界です。
トレードをするならば、人生を賭けて努力しているプロと戦っていることを認識してください。
あなたはプロと同じ土俵で戦っているのです。チャートの裏側に、世界中の凄腕のトレーダーや投資家がいます。
そして彼らは、常にあなたのポジションの反対側で、あなたを打ち負かそうと全力で仕掛けてくるのです。
僕の知っている優れたトレーダーでトレードを続けている人は、例外なくバランスのとれた人生を送っていて、トレード以外の楽しみもしっかり持っている。違った視点を持っていなければトレードだって続けていくのは難しい。
――マイケル・マーカス
トレードが人生の目的になっていませんか?
トレードのやりすぎは精神に毒です。トレードにのめり込み、家庭や人間関係を疎かにしてはいけません。
人生の目的は幸せに生きていくことです。トレードは、その手段の一つであるお金を稼ぐツールにすぎません。トレードと日常生活のバランスを保つように心がけましょう!
勝つために知っておくべき相場の本質
「このアイデアにあとどのくらいの人間がついてくるだろう」と絶えず問いかける必要がある。市場がもう織り込んでしまっているのか常に考えなければいけない。
――マイケル・マーカス
相場の動きやニュースに、他のトレーダーがどう考え行動するのかを考える必要があります。
トレードは対人戦。相手の心理や行動を読み、弱点を突くことが勝利に繋がります。
一番重要なのは自己規律だ。2番目は忍耐だ。
――ゲーリー・ビールフェルド
ルールを守ったトレードを積み重ねることがトレーダーの使命です。
そのためには、欲望や恐怖の感情に振り回されない自己規律と自分のトレードチャンスを辛抱強く待つ忍耐が必要です。
トレーダーを目指す人へのアドバイス
最も重要なことは、利が乗っているポジションはできるだけそのままにしておいて、やられているポジションは早く切るということ。
――マイケル・マーカス
・相場が逆行する前に利食いたい
・連敗が続いたから今回は何が何でも勝ちたい
・相場が反転するはずだから、損切りしないほうが良いはず
・もう負けは許されない、損切りしたくない
こういった誘惑や恐怖心により、利食いを伸ばすことや素早く損切りを実行することが難しくなります。
今とは違う相場のシナリオを考えるのも、優れたトレーダーの重要な仕事の1つだと思う。
――ブルース・コフナー
トレードプランを立てるとき、複数のシナリオを考えましょう。自分の望む方向に動くシナリオだけでなく、損切りをしないといけないシナリオも考えるのです。
想定外の状況では人は咄嗟に正しい行動をとれません。事前に最悪のケースを想定して、常に対処できるようになることもリスク管理の1つです。
トレードがうまくいかない時は枚数を減らすこと。……コントロールできないような局面ではトレードしないこと。
――ポール・チェーダー・ジョーンズ
トレードで負けが続くと、精神が不安定になりコントロールができなくなります。損失を取り戻そうとして、自暴自棄なギャンブルトレードをしてはいけません。
トレードがうまくいかないときは自分の手法と相場の波長が合っておらず、何をやってもうまくいきません。枚数を減らして被害を最小限に抑えましょう。
明けない夜はありません。厳しい相場の後には、イージーな相場が必ずやってきます。
成功するには心理的なリハーサルが不可欠である。
――Dr・パン・K・タープ
脳は「リアルの経験」と「頭の中で鮮明に描いた想像上の経験」を区別することは難しい、と言われています。
そのため、トップトレーダーはトレードを始める前に、相場で起こりうるあらゆる状況を想定し、心の中でシュミレーションを繰り返しています。
イメージトレーニングをすることで、脳内で成功体験を繰り返し、トレードのパフォーマンスを向上することができます。
僕は常に、ちょうどポーカーで勝算の高い手を待つように、絶好のトレード・チャンスを待つ忍耐を保つようにしている。
――ゲーリー・ビールフェルド
ポーカーの戦略の考え方は、勝率をあげるためトレードに参考にすることができます。
ポーカーの戦略
- 配られた手で毎回勝負する必要はない
- 手が良くないときはあえて勝負せずに素直におりる
- 非常に強い手を持っていて勝算が高いとき、大きく賭けて勝負する
日本人初のポーカー世界王者に学ぶ 投資に通じる「勝負論」と「負けない技術」|So-net
トレーディングで多くの人が犯す過ち
トレーダーが「・・・になってほしい」だとか「・・・であればいいなぁ」というのは破滅的な考えだ。そういった思考は市場の分析を放棄させてしまうからね。
――ブルース・コフナー
相場は自分の都合の良いように動いてはくれません。
相場に期待を持ち込むのは厳禁。期待を裏切れたときの精神的苦痛はとても大きいです。
トレーディングでは、期待や欲のない無我の境地が理想の精神状態です。
私が大きくやられるのは、いつも大きく稼いだあとで、自分が何かをつかんだと思い始めたときだ。
――ポール・チェーダー・ジョーンズ
大きな損失は、大きく稼いだ直後に起こることが多いです。大きく稼いだら、休みをとるか、ポジションの量を小さくして軽く流すようにしましょう。
大きな利益のあとにやってくるドローダウン期間を、いかに最小限の損失で抑えることができるかが大切です。
もしトレーダーが儲けることにこだわなければ、うまくいく。それにこだわり過ぎると、結果は悪くなる。
―― ブライアン・ゲルバー
プロトレーダーにとって、お金は単に成績を残す手段にすぎません。
お金のためにトレードすると、お金に対する欲望や執着心が生まれます。欲望や執着心は正しいトレードの実行を邪魔してきます。
トレードの勝ち負けをお金と関連づけてしまうと、トレードの意思決定が感情に左右されやすくなるのです。
機が熟すまでトレードをしない。どのようなときにトレードしないかを知ることは、どのような時にトレード知るかをするのと同様に重要である。
――マーク・ワインスタイン
多くのトレーダーは忍耐強くチャンスを待つことができません。
相場が動くのを見ると、トレードしたくて我慢できないのです。トレードのしすぎは自分の首を絞めることになります。
最大のミスは衝動的な決断から行ったトレードであった。私の個人的な経験からも、衝動的(直感的ということとは全然意味が違う)なトレードほど失敗する確率が高いものはないと思う。
――ブルース・コフナー
トレードは事前の計画に基づいて実行されます。決してその場の思いつきや感情でトレードしてはいけません。
衝動的に計画を変更してはいけません。衝動的なトレードは、破滅的なトレードであることが多いです。
英雄を気取ってはいけない。自己中心的な考え方をしてはいけない。常に自分自身とその能力を疑ってみる。自分はうまいんだなどと思ってはいけない。そう思った瞬間、破滅が待っている。
――ポール・チェーダー・ジョーンズ
傲慢になってはいけません。傲慢になれば、その心はトレードに表れます。
偉大なトレーダーは常に謙虚です。