この記事では、遅行スパンの使い方や、ボリンジャーバンドや雲と組み合わせた手法を紹介します!
遅行スパンを使っている方は、アイデアの1つとしてよければ参考にしてください。
目次
遅行スパンと雲の衝突は、相場の値動きに影響を与える!
遅行スパンと一目均衡表の雲の衝突は、相場の値動きに影響を与えます。
ケース1
遅行スパンが雲内部に侵入すると、進行方向への価格の動きが鈍くなります。
下の下降フラッグを見てください。
遅行スパンが雲内部に入るまでは、価格がじりじりと上昇していましたが、
遅行スパンが雲内部に入ると上値が重くなり、価格が雲上限水準で上値を抑えられ下方向にブレイクアウトしました。
ケース2
価格が雲を下抜けても、遅行スパンが雲を下抜けていない場合は、下降トレンドへまだ転換したと判断するのは危険です。
上の上昇トレンドでも、分厚い雲を価格が下抜けるも、遅行スパンは下抜けることができませんでした。
その後、遅行スパンと価格が同時に雲上限を上抜け(=買いシグナル)、調整相場が終了しトレンドが再開しました。
ケース3
遅行スパンと価格がともに雲を下抜けたら、下降トレンド発生です。
そして、雲下で遅行スパンが反発下落したら、戻り売りを仕掛けるタイミングになります。
ボリンジャーバンド×遅行スパンのブレイクアウト手法
遅行スパンは、ボリンジャーバンドと組み合わせてブレイクアウト手法に利用できます。
買いエントリールール
- ボリンジャーバンドがスクイーズを形成
- ローソク足終値と遅行スパンが同時に+2σバンドを超える
➋は、現在の価格が現在の標準偏差+2σと過去25本前の標準偏差+2σを同時に超えることを意味しており、ブレイクアウトのインパクトが増します。
上のチャートのように、ローソク足が+2σを超えるも、遅行スパンが+2σを超えない場合は、騙しの可能性があります。
また、雲の位置にも注意しましょう。
ローソク足や遅行スパンが+2σを超えるも、雲が進行を妨害している場合はエントリーは危険です。
ちなみに、遅行スパンとボリンジャーバンドの位置関係は、相場環境の把握や目線の決定に役立ちます。
- 遅行スパンがバンドの上で推移:上昇トレンド→買い目線
- 遅行スパンがバンドの下で推移:下降トレンド→売り目線
- 遅行スパンがバンド内:ノートレンド→逆張り目線
関連:私が使っているデイトレードの目線(エントリー方向)の決め方を大公開 !
遅行スパンのバンド越えは騙しもあるので、バンド抜けですぐ目線を切り替えず、しばらくバンド外で推移したのを確認したのち目線を切り替えるのが安全です。
遅行スパンを使って、トレンド相場のモメンタムやトレンド転換を測定できる!
遅行スパンは、現在の値動きと過去の値動きの関係を視覚化することで、トレンド相場の勢いを測定したり、潜在的なトレンドの転換を検出することができます。
特徴として、トレンド相場では遅行スパンが価格に対してトレンド方向側で推移しています。
- 上昇トレンド:価格の上で遅行スパンが上向き上昇
- 下降トレンド:価格の下で遅行スパンが下向き下落
上のチャートのように、遅行スパンが価格の上で推移している間は上昇トレンドが継続していると考え、買い目線で固定し、積極的に押し目買いを仕掛けてOKです。
遅行スパンが価格を下抜けると下降トレンドに転換した可能性があるので、再度遅行スパンが価格を上抜けるまでは押し目買いは控えましょう。
下の下降トレンドでは、1回目の遅行スパンによる価格の上抜けで上昇トレンドに転換せず、再度遅行スパンが価格を下抜け下降トレンドが再開しましたが、
この上抜けからそろそろ下降トレンドの終了が近いことに注意してください。
そのため、下降トレンド再開後に戻り売りを仕掛ける場合は、長期保有せず素早く利益確定するのがベターです。
※1回目のシグナルのように、遅行スパンと価格のクロスはトレンド転換の騙しがあるため、このシグナルの発生のみでトレンド転換を狙う逆張りを仕掛けるのは危険です
他にも、トレンド相場での遅行スパンと価格のクロスは、深い調整相場へ移行するシグナルになります。
次のチャートでは、遅行スパンが上抜けると右肩上がりにもみあい、下降フラッグを形成しました。
ブラッグのブレイクアウトで売りを仕掛けたら、遅行スパンと価格の動きを見守り、遅行スパンが価格を上抜けたら利益確定しましょう!
補足:レンジ発生も検知できる!
遅行スパンを使うことで、レンジ相場の発生を捉えることができます。
レンジ相場発生の見つけ方
- 遅行スパンが横ばいし、横ばいしているローソク足とぶつかり、ローソク足とからみあう
遅行スパンを使った手法を2つ紹介!
遅行スパンを使った手法を2つ簡単に紹介します。
手法アイデアとしてよければ参考にしてください。
手法1
1つ目の手法では、遅行スパンと雲、パラボリックの3つを使います。
まずはじめに、遅行スパンと価格、雲の位置関係でトレンドの発生を特定します。
- 上昇トレンド:遅行スパン>価格>雲の順に並び、3つがともに上昇
- 下降トレンド:雲>価格>遅行スパンの順に並び、3つがともに下降
下のオージー円5分足では、上から順に雲>価格>遅行スパンの順に並び、下降トレンドが発生しています。
トレンドの発生を捉えたら、パラボリックのシグナルで押し目買い・戻り売りを仕掛けます。
- 上昇トレンド:パラボリックの陽転で買いエントリー
- 下降トレンド:パラボリックの陰転で売りエントリー
戻り売りの場合、損切り水準は陰転時の1つ目のパラボリックの水準に置きます。
利食い方法は、次の3つがあります。
- 素早く利益を確保したい方向け:パラボリックの陽転で決済
- ほどほどに利益を伸ばしたい方向け:遅行スパンが価格とクロスしたら決済
- 長期保有したい方向け:雲の下限に到達したら決済
遅行スパンが価格とクロスするとトレンドの勢いが低下し、上のチャートのように戻しでパラボリックの陰転が繰り返されたり、下のチャートのように押しでの陽転が騙しになりやすいので、これ以降では新規エントリーは控えましょう。
関連:知らないと損!FXで押し目買いを仕掛けてはいけないタイミング9選!
手法2
2つ目の手法は、書籍「給料分を稼ぐ超シンプルFX|ダイヤモンド社」で紹介している手法です。
ここでは簡単にルールを紹介するので、詳しく学びたい方は上の本をご覧ください。
次の4つの条件をクリアしたら買いを仕掛けます。
➊ボリンジャーバンドのセンターライン(20EMA)が上向き
➋バンド幅がスクイーズ(収縮)からエクスパンション(拡張)へ変わる
➌平均足が20EMAを上回る
➍遅行スパンが上向き引用:給料分を稼ぐ超シンプルFX|ダイヤモンド社
平均足がボリンジャーバンドの+2σ~+3σ間で推移し、かつ遅行スパンが平均足より上にある間はポジションをキープします。
そして、平均足の実体が+2σバンドから離れたら利益確定します。
※ボリンジャーバンドの中心線をEMAに変更する方法はこちらで解説してます!
→ MT4|ボリンジャーバンドのミドルライン消してEMAに変更する方法
関連:【決定版】ボリンジャーバンドを極めたい方におすすめの本12選!
先行させた遅行スパンの使い方!
遅行スパンを先行スパンのように、価格の右側にシフトさせて使うこともできます。
- 先行させた遅行スパン=現在の終値を、ローソク足26本分右にシフトしたライン
これは、移動平均線を次のように設定することで表示できます。
MAの設定
・期間:1
・シフト:26
・種類:SMA
・適用価格:Close
通常の遅行スパンでは現在の足の終値と25日前の終値を比較するのに、過去のチャートを見る必要があり少し混乱しますが、
先行させた遅行スパンでは現在の足とその遅行スパン(=過去25本前の終値)を見ればよいため分析がしやすいです。
この先行させた遅行スパンは、不思議なことに通常の遅行スパンと同じように、雲の影響を受けます。
具体的をいくつか見てみましょう。
ポイントA~Eの戻しを見ると、ローソク足はまだ雲にぶつかっていませんが、反転下落しトレンド転換しています。
このときの先行させた遅行スパン(ポイントA´~E´)を見ると、雲にぶつかり、雲の下限水準(レジスタンスライン)で上値を抑えられ反転下落しています。
エントリーシグナル
- 先行させた遅行スパンが雲の中に入るも反転し、雲を下抜けたら戻り売りエントリー
次の上昇トレンドでは、先行させた遅行スパンが雲の中に入ると、小規模のもみあい相場が発生しました。
このように、価格と雲、先行させた遅行スパンの3つの関係性を見ることで、相場未来の値動きの予測やシナリオ作成に役立ちます。
例1
価格が上昇する雲の上にあり、上昇トレンドを形成していますが、先行させた遅行スパンは雲を下抜け、トレンド転換の兆候を見せています。
買いポジションを保有している場合はそろそろ利益確定する必要があり、新規買いは様子見します。
例2
現在の価格は雲下で上値を抑えられています。
先行させた遅行スパンは雲周辺で上下動し、もみあっています。
このまま価格が横ばいすると、分厚い雲にぶつかり、中~長期のレンジ相場を形成すると予想されます。
関連:【MT4】未来のチャートを予測するインジケーター3選!
他にも、先行させた遅行スパンはトレーリングストップにも利用でき、特に勢いの強いトレンド相場やブレイクアウト相場で機能します。
勢いの緩やかなトレンド相場でトレーリングストップを使いたい場合は、シフト+52の先行させた遅行スパンがうまくいきます。
例えば上の上昇トレンドでは、シフト+26のラインではトレンド途中でトレーリングが終了してしまいますが、+52のラインではトレンド終了までポジションを保有し続けることができます。
このように、トレンドの強さや手法との相性に合った最適なパラメーターを見つけてください。
※いろいろなテクニカル指標を使ったトレーリングストップ戦略は、『【FX】実践的なトレーリングストップ戦略を8つ紹介!【長所&短所】』で解説しているのでよければこちらもご覧ください。