この記事では、米国の伝説的なテクニカルトレーダー『ウィリアム・ギャン』が提唱した28のルールからなる「ギャンの相場理論」を紹介します。
このルールは、プロのトレーダーが皆必ず守っている、相場で成功するための基本原則であり、相場で生き残るために必要なリスク管理やトレードで守るべき心得を教えてくれます。
【FX&株の基本原則】ウィリアム・ギャンの28のルール
1.トレード資金を10等分し、1回の取引では資金の10分の1以下のリスクに抑える
たとえばトレード資金が1000万円ある場合は、トレード資金を10等分してFX・株口座には100万円を入れます。
そして、1回の取引でのリスク額は10万円を上限とします。
他にも、1回の取引額をトレード資金の1%にするのも多くのトレーダーが採用している資金管理法です。
FX・株の資金管理法を学びたい方におすすの本
2.損切り注文を必ず置く
エントリー直後またはエントリー注文と同時に、必ず損切り注文を発注しましょう。
損切りの逆指値注文を入れることで、自分の思惑・トレードプランが外れたとき、損失を最小限に抑えることができます。
逆に損切り注文をおいておかないと、ズルズルと相場が逆方向に動き、損失が膨れ上がります。
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3.資金配分にそったポジション量を厳守する
1つのトレードでのリスク率を2%以内に抑えましょう。
それ以上大きなポジションを取ると、連敗を重ねたとき取り返せないほどの損失が出てしまいます。
リスク率が高いと、トレード資金がすべて失う『破産確率』が高くなります。
自分のトレードの破産確率を調べたい方は、バルサラの破産確率で調べることができます。
バルサラの破産確率は、リスク率、勝率、損益比率の3つのファクターで計算できる指標で、トレードを繰り返すと将来どれくらいの確率で破産するかを数値化してくれます。
→ バルサラの破産確率の計算機を使って自分のルールの強度を確かめよう|FX Square
4.トレーリングストップで、含み益を確保する
トレーリングストップとは、含み益がある程度出たタイミングで損切り水準を引き上げる戦略のことです。
トレーリングストップを使うことで、利益をできるだけ大きく伸ばすことができるため、「損小利大」のトレードが実現できます。
トレンドフォロー手法やブレイクアウト手法と相性がよいですが、逆に小さな値幅を狙う逆張り手法ではうまく機能しません。
詳しくは→【FX】実践的なトレーリングストップ戦略を8つ紹介!【長所&短所】
5.必ずトレンドの有無&方向を確認する。そして、トレンドの方向に仕掛ける
トレンドに逆らう逆張りは勝率が低く、仕掛けるタイミングが難しいので上級者向きの手法です。
初心者の方は、まず順張りトレードを極めましょう。
順張り(押し目買い・戻り売り)は、質の高いトレンドを見極めることが勝つ秘訣です。
強いトレンドを見つけるのに役立つ記事
特に上位足のブレイクアウトで発生した下位足のトレンドは、順張りを仕掛けるのに適しています。
実践的な順張りトレードの例として、下記の記事を参考にしてください。
・【上位足のトレンドに乗る!】1時間足ミニフラッグを5分足で仕掛けるMTF×ブレイクアウト手法!
6.トレードすべきか迷ったチャンスは見送る
迷いやためらいは、そのチャンスに何かエントリーすべきでない理由があることを示唆しています。
トレードの経験を積むほど、そういった直感が磨かれます。直感の声に耳を傾けることも、トレードスキルの1つです。
7.ボラティリティの大きい相場でのみトレードする
方向感が不安定でボラティリティ(価格の変動率)が小さいもみ合い相場は、トレンドフォロー手法がまったく機能せず、トレードの難易度が高いです。
そのためもみ合い相場を避けるために、トレーダーは常に次の2点を監視する必要があります。
- 相場の環境把握:現在の相場は、トレンド or レンジのどちらかを見極める
- ボラティリティの大きさ→【MT4】ボラティリティインジケーター7選
また、複数の通貨ペアの相対的なボラティリティを比較し、ボラティリティの大きな市場を見つけてトレードすることも大切です。(ボラティリティの小さな市場は、トレンドやブレイクアウトの発生確率が低いです)
→【MT4&MT5】複数の通貨ペアのボラティリティを監視できるインジケーターを2つ紹介!
※ボラティリティの測定は、ATRやADRのテクニカル指標でも行えます
・相場のボラティリティを解析!ATRボリンジャーの使い方を徹底解説!
8.リスクを分散する
1つの銘柄や手法に依存した投資は汎用性が低く、相場のあらゆる局面に対応できません。リスクを分散し、生き残る確率を上げましょう。
リスクの分散には、つぎのようなものがあります。
- 順張り手法と逆張り手法それぞれを開発する
- 1つの市場だけでなく、他の市場もトレードする
→FXトレーダーなら、株やCFD、仮想通貨にも挑戦 - 相関性の高い通貨ペア(銘柄)のポジションを同時にもたない→【FX】通貨ペアの相関関係の実践的な使い方6選!
※逆張り手法については下記の記事で解説しています!
・【FX】2つのダブルボトムを利用した強力逆張りエントリーを伝授!
・【FX】移動平均線とトレンドラインを使った、順張り&逆張り手法!
9.エントリーは、指値注文ではなく、成り行き注文で行う
エントリーのタイミングを計るときは、値動きの流れやプライスアクションが大切です。
指値注文では、プラシスアクションを無視した仕掛けをしてしまいます。
それに対して成り行き注文の場合は、値動きを見て仕掛けるべきか判断できるため、仕掛けの精度が良くなるメリットがあります。
上のチャートでは、上昇トレンドが発生しています。
キリ番(レジスタンスライン)を上抜けたら、買いを仕掛けるとすると、上抜けの値動きパターンはいくつもあります。
プライスアクションを見極め、良い形でのみ成り行き注文で仕掛けるようにしましょう。
※ローソク足パターンを利用してエントリータイミングを計る方法の例は、下記の記事を参考にしてください
10. 明確なルールで、利益確定する
あなたは、客観的な利食いルールを持っていますか?
もし持っていない場合、含み益が生じたとき利益を失う不安や利益を確保したい欲に駆られて、小さな利益で手仕舞ってしまう失敗を犯す可能性が高いです。
この「チキン利食い」を防ぐのに、テクニカル指標やプライスアクションを使った「100%機械的な利食いルール」を構築する必要があります。
たとえば、ブレイクアウト手法の利食いには、次のシグナルが有効です。
- ボリンジャーバンドの±2σバンドの転換
- オシレーター(RSIやATR)のダイバージャンス
- MACDのゴールデンクロス・デッドクロス
11.投資で稼いだ利益の一部は、生活口座に入れる
投資用と生活用の2つの口座を作り、投資資金と生活資金を別々の口座で管理しましょう。
参考までに、私のルールを紹介します。
- トレード資金が足りなくなっても、生活資金には決して手を出さない
- 一週間のトレードが終了したら、得た利益の半分を生活口座に入れる。残りは、トレード資金として運用する
- トレード資金が減ったら、投資口座から補填する。
12.スキャルピングトレードは禁止
スキャルピングとは、1分足やティックチャートを使って、小さな利益を狙う超短期トレードです。
トレード回数を増やせるというメリットがありますが、次のようにデメリットが多いのでおすすめしません。
- 利益が小さいため、相対的にスプレッドコストが大きくなる
- 長時間モニターに張り付くため、心身ともに疲れやすい
- オーバートレードをしやすく、ポジポジ病になりやすい
トレード回数を増やしたい場合は、派生手法を開発したり、別の市場でもトレードするなど、リスクの小さい方法を試してみましょう。
13.ナンピンはしない
ナンピン(難平)とは、買いポジションを持った後、価格が下がった時にさらに買いポジションを追加する戦略です。
ナンピン買いでは、1ロット(1株)あたりの購入単価を下げ、損失を和らげるメリットがあります。
しかし、価格が上がらずに下落すると、損失が2~3倍以上大きくなるリスクがあります。
無計画なナンピンは、初心者が市場から退場する原因の1つです。
14.真のチャンスが来るまで待つ
チャンスをじっくり待てずに、つい目の前の値動きに手を出してしまう理由として、「自分なりの優位性の高い仕掛けの定義が確立していない」ことが挙げられます。
自分がどこで仕掛けるべきかはっきりしていれば、目の前の微妙なチャンスを自信を持って見送ることができるようになります。
関連:【FXデイトレ】ピボットポイントの性質を利用した東京時間レンジブレイクアウト手法!|note
15.損大利小のトレードは避ける
勝ちたいあまりに小さな利益で手仕舞いし、負けを回避するために損をズルズル引き伸ばしていませんか?
小さな利益で勝ちを拾っても、その後の大きな負けでこれまでの利益を吹き飛ばしてしまいます。
「コツコツドカン」のトレードスタイルを治すには、次の3つの手順をトレードに組み込むのが効果的です。
- 損切りや利食いの水準を事前に決めておく
- そして、エントリー前に損益比率を計算する
- 損益比率≧1のとき、エントリーOK。損益比率<1のとき、エントリーは見送る
※損益比率の計算や改善に役立つ記事は次の3つがあります!
・FXでリスクリワードレシオを自動計算して、チャートに表示する5つの方法
・【期待値UP】5分足順張り手法の損益比率(リスクリワードレシオ)を上げる私の5つの戦略!|note
16.エントリーと同時に損切り注文をおき、これを消してはいけない
損切り注文は、損失が大きくなる方向に動かしてはいけません。損失が大きくなるだけです。
ただし、損切りを少しずらすと過去の統計データで勝率が改善される場合は、損切りの水準位置が不適切な可能性が高いです。
エントリー根拠が失われる水準に損切りを置けているか、再検証してみましょう。
17.オーバートレードは決してしない
オーバートレードの対策として、1日のトレード回数を限定しましょう。
トレード回数の上限を決めていないと、無駄なトレードを繰り返し、損失が膨れ上がることになります。
また、ポジポジ病のトレーダーはその悪癖を矯正することも大切です。具体的な治療法は、下の記事で解説しています。
18.売りも積極的に使う
株やFXの取引では、株や通貨を手元に持っていなくても、「売り」で仕掛けることができます。
下降トレンドは市場参加者の恐怖や不安を引き起こし、上昇トレンドに比べて短期間で大きく下落する傾向があります。
そのため、売りの仕掛けのほうが稼ぎやすく、プロの中には売りだけを仕掛けるトレーダーもいます。
19.安いというだけで買ってはいけないし、高いというだけで売ってはいけない
「大きく下がったし、もう下がらないだろう」という値ごろ感で買うのは危険です!
トレンドの天井や大底を狙った逆張りは難易度の高いです。
トレンドが発生している限り、トレンドの方向に仕掛けるのが原則で、もうトレンドは続かないだろうと決めつけ、逆張りを仕掛けないようにしましょう。
20.ピラミッティングは、レジサポライン抜けで行う
レジサポラインのブレイクアウト後に、ピラミッティング(買い増し・売り増し)を仕掛けるのがオススメです。
その理由は、次の2つがあります。
- レジスタンスライン(サポートライン)を抜けると、トレンドが加速する
- 買い増しポジションの損切り注文をサポートライン下に隠せる
→売り増しポジションの損切り注文をレジスタンスライン上に隠せる
21.強いトレンド時のみ、ピラミッティングする
ポジションの買い増し・売り増しは、トレンドが強い(継続性が高い)ときのみ有効です。
トレンドが弱くて継続性がない場合にピラミッティングを行うと、せっかくの含み益が吹き飛ぶリスクがあります。
そのため、トレンドの勢いが強いと確信できるときのみ、ピラミッティングをおこなうようにしましょう。
ピラミッティングの基本戦略 (上昇トレンド)
- 直近高値を上抜けたら、買い増しをする
- 損切りは、押し安値下におく
22.両建ての禁止
両建てとは、同じ銘柄または相関性の高い2つの銘柄で、買いと売りのポジションを同時に持つことをいいます。
一方が利益を出しても、他方のポジションが損失を出してしまい、その結果利益が打ち消されてしまうため、両建ては一般的に有効な手段ではありません。
23.明確なルールに従って、トレードを行う
ヤマ勘や値ごろ感でトレードしてはいけません。
過去のデータで期待値がプラスの手法(売買ルール)を構築し、そのルールに従って淡々とトレードしましょう。
「客観的な売買ルールの参考例が見たい」という方は、下記の記事を参考にしてください!
24.大きく儲けた後は、無駄なトレードを繰り返さないようにする
大きく勝てたのは、ただ相場環境が非常に良かっただけかもしれません。簡単に勝てる相場の後には、難易度の高い相場がきます。
連勝で大きく儲けて有頂天になり、ルールを破ったトレードをしていると、あっという間に儲けた資金を失うことになります。
大きく勝ったときこそ、さらに儲けようとするのではなく、その利益を守ることに全力を尽くしましょう。
25.相場の天井・大底を推測しない
トレンドの終了をピンポイントで当てようとするのは、プロでも難しいといわれています。
トレンドの流れに逆らう逆張りではなく、トレンドの流れにそった順張りを仕掛けることを心がけましょう!
26.周りの意見や行動に追随するな
相場の世界では、大衆(全体の95%以上)が勝ち続けることはできない仕組みになっています。多くの人が最終的に相場の世界から去っていきます。
周りの人が話題にしている銘柄や手法に手を出さないようにしましょう。勝てる銘柄や手法が簡単に手に入るほど、相場は甘くありません。
関連:【FXで勝てなくて悩んでいる方へ】億トレーダー&投資家の名言42選
27.損切りになったら、次のトレードは取引量を減らす
相場でお金を失うと、損失を取り戻そうと熱くなりやすいです。
冷静さを欠いた精神状態では正しい判断はできず、エントリーを何度も繰り返すポジポジ病に陥る危険性があります。
また損切りになるということは、今の相場環境と自分の手法の波長があっていない可能性があり、すぐにトレードしても再び負ける確率が高いので一旦相場から離れるのがおすすめです。
28.自分のトレードルールは厳守する
手法や資金管理、リスク管理のルールを守る習慣を身に着けましょう。
エントリーや損切り、利食い、取引量の計算が正しく実行できているか、常にチェックしましょう。