この記事では、ADXやDMIの使い方や見方を解説します。
ADXはトレンドの強さを測定するテクニカル指標で、順張りに適した強いトレンドを捉えたり、弱いトレンドや弱体化したトレンドを識別して順張りトレードを避けたりなど、順張りトレードの精度を上げるのに役立ちます!
目次
ADXやDMIとは?【ADXの基本的な見方】
ADXはトレンドの強さを測定するモメンタム指標で、価格の上昇・下落の強さを測定するDMIと組み合わせてトレンドの有無や強度を分析します。
DMIは、現在の足と1つ前の足の高値の差(=上昇幅)で上昇の勢いを、また安値の差(=下落幅)で下落の勢いを測定します。
- +DI:相場の上昇力を数値化
- -DI:相場の下落力を数値化
※DMIやADXの詳しい計算方法は→DMI・ADX̩̩の計算式|カブコム証券
ADXの基本的な見方
ADXは+DIと-DIの差の平均(指数平滑移動平均)で、上昇力と下落力の差を表します。
- +DIと-DIの差が拡大→ADX値は増加=相場のパワーバランスが崩れ、一方向への動きが強まる
- +DIと-DIの差が縮小→ADX値は減少=上昇力と下落力が拮抗
ADX値の範囲は0~100で、上昇トレンド・下降トレンドにかかわらず、トレンドの強さが増すほどADXが増加します。
- ADX極大値の切り上げ:トレンドの勢い増加
- ADX極大値の切り下げ:トレンドの勢い減少
※トレンド後半で、相場が高値を更新するもADX極大値が切り下げた場合(=ADXのダイバージェンス)、トレンドの終わりが近いので気を付けてください。
一般的に、20や25レベルがトレンド発生の境界水準として注目されます。
- ADX値が25以上:トレンド発生
- ADX値が25未満:相場はノートレンド(レンジ相場)
ADXの上昇角度はトレンドの加速度に比例し、ADXの傾きが急ほどトレンドの勢いが強いです。
このようにADXは無指向性であるため、ADXだけでトレンドの方向を把握することはできず、+DIと-DIの位置関係でトレンド方向を調べます。
- ADX≧25&+DI>-DI:上昇トレンド
- ADX≧25&+DI<-DI:下降トレンド
DMIの特徴や見方をさらに詳しく解説!
1.DMIと25レベルの関係
DMIが25レベルを超えるときは、その方向の勢いが非常に強いです。
下のドル円5分足では、ADXと+DIがともに25レベルを超え、強い上昇トレンドを形成しています。
+DIが25レベルを下回るのは、トレンドの小休止(深めの押し)、またはトレンド終了へ移行する早期シグナルになります。
再度+DIが25レベルを超えたら上昇トレンド再開で、これは買いのエントリーシグナルになります。
また、25レベル以下で+DIと-DIがもみあうのは、買い圧力と売り圧力が拮抗し、方向感がないレンジ状態です。
相場の動きが不安定で動きにが読みにくいため、仕掛けるのは危険な局面になります。
特に、トレンド終盤で+DIと-DIが25レベル下でもみあうのは、トレンド方向の勢力が低下して、トレンドフォロー派と逆張り派の力関係が逆転しつつあり、トレンド終了が近いことを示唆しています。
2.+DIと-DIの距離でボラティリティを測定できる
- +DIと-DIの距離が縮小:ボラティリティが低下中→調整相場やレンジ、継続パターンの形成
- +DIと-DIの距離が拡大:ボラティリティが増加中
特にトレンド相場での「+DIと-DIの間隔の縮小」ポイントは、トレンド継続パターンのフラッグやトライアングルパターンに対応することが多いです。
3.ブレイクアウトの予兆
レンジ内部で+DI、または-DIが25レベルを超える上昇が発生したとき、その方向の動きが強まっており、その方向にブレイクアウトが発生する可能性があります。
必ずしもその方向にブレイクアウトが成功するわけではありませんが、ブレイクアウト方向を予測する1つの判断材料としてよければ参考にしてください。
※OBVを使って、出来高の観点からブレイクアウトの発生を予兆することもできます。
詳しくは→ 【FX】オン・バランス・ボリューム(OBV)とは?使い方・戦略を徹底解説!
4.+DI・-DIは、レベル5が底になりやすい
+DI・-DIは、レベル5に到達すると反転上昇する傾向があります。
たとえば下降トレンドでは、+DIがレベル5に到達すると反転上昇して買い圧力が高まり、相場はスイングローをつけて戻し(調整上昇)が入ります。
5.+DIと-DIのクロスはシグナル精度が悪い
+DIと-DIのクロスは、一般的にエントリーのシグナルとして利用されますが、発生タイミングが遅く、押し・戻しではシグナルが発生しないことも多くおすすめしません。
※特に、ADXが25レベル以下での+DIと-DIのクロスは騙しのクロスが頻繁に発生します
そのため、順張りエントリーシグナルとして+DIと-DIのクロスを利用している方は、ストキャスティクスを代用するのがおすすめ!
例えば下降トレンド相場では、「ADXが25以上&ストキャスティクスが50レベル以上でデッドクロス」で戻り売りエントリーします。
ADXがレベル25を下回るとトレンド終了の可能性があるので、これ以降でストキャスティクスがクロスしてもエントリーするのは避けましょう。
関連:騙しを回避!ストキャスティクスのクロス(GC・DC)の精度を上げる8つの方法
また、トレンド相場の途中で+DIと-DIのクロスが発生することが多く、トレンド終了やトレンド転換の騙しのシグナルになります。
このように、DMIはトレンド方向指標として機能しにくく、ADXをトレンド分析に利用しているトレーダーの中にはDMIを非表示にし、代わりのトレンド方向指標として移動平均線を利用する方もいます。
- 20EMA:トレンドの方向を把握
- ADX:トレンド強度を測定
- 強い下降トレンド:ADXが25以上で上向き上昇&価格<20EMA
- 中程度の強さの下降トレンド:ADXが25以上で下向き下落&価格<20EMA
- 弱い下降トレンド:ADXが25以下&価格<20EMA
ADXと相性が良い3つのテクニカル指標とその使い方は?
ADXと組み合わせて使うのに適したテクニカル指標は、次の3つがあります。
1.パラボリック
パラボリックはトレンド指標の1つで、トレンド相場でのエントリーシグナルやトレーリングストップとして人気です。
ただし、レンジ相場ではパラボリックの陽転・陰転はエントリーシグナルとして機能しにくく、レンジ相場を避けて利用する必要があります。
そのレンジ相場を避ける方法の1つとして、ADXを使うことができます。
ADX≧25ならトレンド発生とみて、トレンド方向にパラボリックが転換したら仕掛けます。
ADX<25ならレンジ相場とみて、パラボリックでの順張りエントリーは回避します。
2.ATR&OBV
ADXにATRとOBVを組み合わせることで、トレンドを多角的に分析することができます。
それぞれの役割
- ADX:トレンドの強さ
- ATR:トレンドのボラティリティ
- OBV:トレンドの背景にある出来高の大きさ
→VROCでも代用可
例1
前半の相場は、ADXが25レベルを超え、またATRやOBVが安定しており、ボラティリティや出来高が大きい上昇トレンドが発生しています。
中盤の相場では、ADXが25レベルを下抜け、またOBVが急落しており、トレンドを支えるだけの買い需要がなくなり、上昇トレンドが終了しました。
後半の相場では、ADXは25レベルを何度も上下動し、ATRやOBVは低水準で推移しており、値動きの弱いレンジ相場を形成しています。
例2
中盤の相場では、上昇トレンドの高値圏近くで深い押しが入っています。
直近高値を価格が上抜けたとき、ADXは25レベルを超えていますが、ATRは下落しつづけ、OBVは直近の高値水準を超えておらず、トレンド再開するだけのボラティリティや買いの出来高がありません。
その後、2回目の価格の直近高値越えでは、ADXが25越えで、ATRは上昇し、OBVも直近高値を超え、トレンドは再開しました。
3.ボリンジャーバンド
ADXはボリンジャーバンドと組み合わせて使うこともできます。
たとえば、ボリンジャーバンドの±2σバンドタッチでの逆張りは「ADX<25」の局面で機能しやすく、
「ADX≧25」の局面では反発強度が弱く、価格が±2σバンドを突き抜けやすいため、逆張りで仕掛けるのは危険です。
また、ボリンジャーバンドのスクイーズブレイクアウト時に、ADXが25レベルを超えない場合は、ブレイクアウトが継続するだけのパワーがなく、ブレイクアウトは失敗に終わる可能性があります。
バンドを価格が越えたときに、ADXも同時に25レベルを上抜いたかどうか確認して仕掛けるようにしましょう。
ADXRとは?ADXと合わせて使う便利な指標!
ADXRはADXを平滑化した指標で、計算式は次のとおりです。
ADXRの計算式
- ADXR=(現在のADX値+n本前のADX値)÷2
期間nは10や20が一般的です。
ADXRはADXと同じようにトレンドの強さを測定する指標ですが
下のチャートのようにADXRはADXに遅れて動くため、ADXより25レベルのクロスの頻度が少なくトレンド発生シグナルの騙しが抑えられます。
また、トレンド発生中、ADXRはADXと比べ25レベルを下回りにくく、トレンドを長く追跡しやすいです。
他にも、25レベル以上でのADXとADXRのデッドクロスは、トレンドの勢いが低下している兆候であり、深めの調整相場への移行やトレンド終了シグナルとして利用できます。
このシグナルはADXの25レベル下抜けより早く発生するため、トレンドフォローポジションの利食いタイミングにおすすめです。
ADXRが表示できるMT4インジケーターは、下記がおすすめ!
Average Directional Movement Index
このインジケーターは、ADX、ADXR,±DIの計4本をチャートに表示できます。
ADXで通貨ペアや銘柄のスクリーニングができるサイトの紹介!
FXの通貨ペア選びや株の銘柄選びに、ADXやDMIを利用したい方はTradeingViewのスクリーナーがおすすめ!
たとえば、「ADXが25以上」の条件でスクリーニングすることで、現在トレンドが発生している通貨ペアや銘柄を抽出することができます。
手順
1.下記のボタンをクリックする
2.「ADX」のチェックを入れる
3.ADXのフィルター条件を設定
以上で、「ADXが25以上」を満たす通貨ペアを一覧表示できます。
MT4やMT5で使えるADXインジケーターの紹介
アラート機能つきインジや上位足のADXを表示するインジ、平滑化ADXなどがあるので興味がある方はぜひお試しください!
・【MT4】ADXインジケーター7選!【クロス矢印・MTF・アラート・平滑化】
・【MT5】ADXのインジケーターを7つ紹介!