FX相場では、対称的な値動きパターンがときどき発生します。
この値動きの対称性を利用することで、次のような情報を得ることができ、トレンド転換後の相場のシナリオ構築に役立てることができます。
- ターゲット水準:価格がどの価格水準まで動くか
- 波動の予測:相場がどこで反転して波を形成するか
※注意点として、値動きの対称性は上位足(1時間足以上)のチャートで機能しやすいです。1分足や5分足など下位足のチャートでは、対称性が崩れやすいので精度が悪いです。
では、具体的に見ていきましょう!
値動きの対称性で、相場の未来の動きを予測しよう!
次のポンドドル1時間足チャートでは、上昇トレンドの天井できれいな逆V字パターンを形成しています。
また、逆V字の両端を見ると、ともに小さな山で反転しており、逆V字の頂点を中心に対称的な値動きパターンを形成しています。
この値動きの対称性に注目すると、現在の下落相場がどの水準で下げ止まるか予測できます。
左側を見ると、相場は1.33007ドルで下げ止まり反発上昇しています。
そのため、1.33007ドル水準近くに価格が到達すると、相場はいったん下落が終了すると予測できます。
補足
値動きの対称性を利用するには、少なくとも合計6つの波(3+3)で対称性を作る必要があります。
波の数が少ないと、対称性に注目する市場参加者が少なく、その後の値動きが対称性を反映した動きになりにくいです。
その後の相場を見てみましょう。
1.33007ドル水準に到達すると、下ヒゲをつけて反発上昇し、下落が終了しました。
さらに、その後の相場のシナリオを対称性をもとに予測してみましょう。
下のチャートでは、さらに左側の値動きを見て、相場が反転した高値安値A~Eの水準に水平線を引いています。
その後の相場では、この各水準で反発を繰り返し、大きく下落すると予測できます。(オレンジのラインが予測した未来の相場になります)
実際のチャートを見てみると、上で引いた水準近くで高値安値を作り、下降トレンドを形成しました。
ポイント
対称の中心から近いほど、相場の波は左側と酷似した動きになりやすいですが、中心から遠くなるほど対称性が崩れやすくなります
今回の場合、丸で囲んだポイントの波を見ると、左の波形と異なる動きをしており、対称性が崩れかかっています。
このような対称性の崩れが見られると、その後の値動きは対称性を意識した動きになりにくいので注意してください。
右肩上がりの対称パターンもある!
2つ目の例を見てみましょう。
下のユーロドル1時間足では、安値圏でヘッド&ショルダーズボトムを形成しています。
ただし、1つ目と2つ目の谷で結んだラインやネックラインが上向きであり、この対称性パターンは右肩上がりになっています。
そのため、ネックライン上抜け後の相場は、直近の高値安値から引いた水平ラインではなく、ネックラインに平行な斜めのラインで反転を繰り返して上昇トレンドを形成すると予測できます。
オレンジのラインは、その後の未来の値動きを予測したもので、斜めラインと対称性を利用して作成しました。
これより、たとえばネックライン越えで買いポジションを持った場合はポイントA・Cが利食い水準の候補で、また押し目買いを仕掛けたい場合は、ポイントBでの反発が狙いどころです。
関連:【FX】トレンドラインのコピーラインで、押し目の底を予測する方法!
次のチャートは、その後の相場です。
ヘッド&ショルダーズボトムの中央の谷を中心に、対称的に相場が上昇しています。
丸で囲ったポイントでは、ピンクのラインまで到達せず価格が反転上昇し、対称性が崩れています。
そのまま青のラインを上抜け、上昇トレンドが加速する可能性があるので、順張りで仕掛けるチャンスになります。
次のチャートも右肩上がりの対称的なパターンを安値圏で形成しています。
現在の相場は、左側の直近安値を結んだ延長ライン(ラインA)上で反発上昇しており、ここはヘッド&ショルダーズボトムの3つ目の山を利用した逆張りポイントになります。
この上昇はどこまで伸びていくでしょうか?
対称性を考えると、次のラインがターゲット水準の候補になります。
- 左側の高値2点を結んだラインと中心線が交差する点を始点、右側の高値を終点とするライン(ラインB)
その後ラインBに価格が到達すると、相場は反転しラインAまで下落し、さらにラインA上で反発上昇して、最終的にラインBをブレイクアウトすると予測されます。
次のチャートはその後の相場です。今回も対称性が崩れると、一方向に大きく動きました。
※未来のFX相場を予測する方法として、Extrapolatorインジケーターを使う方法もあります。
これはフーリエ解析や自己回帰モデルを使って未来の値動きの予測軌跡をチャートに表示します。
詳しくは→ 【MT4】未来のチャートを予測するインジケーター3選!
補足:値動きの反復性も未来の相場の予測に役立つ!
また、対称性の他に、値動きの反復性も相場の動きを予測するのに役立てることができます。
たとえば、下のレンジ相場を見ると、最初のレンジ内上昇は上昇3波でレンジ下限からレンジ上限へ移動しています。
直後の下落では、下降2波でレンジ上限からレンジ下限へ移動しました。
これより、その後のレンジ内での動きは、上昇3波→下落2波でレンジ上限~下限を上下動する可能性があります。
以上で、『【未来のチャート予測】値動きの対称性に注目して、相場のシナリオを立てよう!』の解説を終わります。