この記事では、ブレイクアウト手法のセットアップの1つである、ナローレンジパターンについて紹介します。
【FX】ブレイクアウト手法のセットアップに使えるナローレンジの定義!
ナローレンジ(NR)はローソク足4本以上で構成するプライスアクションパターンの1つです。
ロジックはボリンジャーバンドのスクイーズと似ており、ボラティリティが縮小しているポイントを見つけて、その後のボラティリティの拡大で一方向に相場が動くタイミングを狙って仕掛けます。
定義
- 現在のローソク足の大きさ(=高値-安値)が直近のローソク足x‐1本より小さいと、NRxと定義します
Xの値が大きいほど、現在のローソク足が長い期間において収縮しており、エネルギーが溜まった状態になります。
特に、NR4、NR5、NR7が人気で、裁量トレードやEAで使われます。
- NR4:現在の足の大きさ<直近3本の足より小さい
- NR5:現在の足の大きさ<直近4本の足より小さい
- NR7:現在の足の大きさ<直近6本の足より小さい
NR7は、過去7本の足の中でレンジ幅が最小のローソク足で、特に日足のNR7は過去7日間で最も1日の値幅が狭い日であり、蓄積されたエネルギーが爆発して翌日ブレイクアウト日になる可能性が高いです。
ナローレンジを使ったトレード戦略
ナローレンジはボラティリティブレイクアウト手法のセットアップとして利用できます。
参考:【価格の破裂】ATRボリンジャーを使ったボラティリティ・ブレイクアウト手法
ナローレンジの基本的な取引ルールは次のとおりです。
エントリールール
- NRの高値を価格が上回ったら買い
- NRの安値を価格が下回ったら売り
NRで仕掛ける方向はトレンドやブレイクアウトなど、価格の勢いがある方向に絞って仕掛けます。
損切り水準
- 買いポジ:NRの安値下に置く
- 売りポジ:NRの高値上に置く
また、ナローレンジのブレイクアウトが短命であることが多いため、利食い方法はパラボリックやNバーを使ったトレーリングストップ戦略を利用してすばやく利益確定するのが適しています。
詳細:実践的なトレーリングストップ戦略を8つ紹介!【長所&短所】
ポイント
- NR足と直近1~3本の足がすべて小さく、ボラティリティが縮小しているのが理想的
- NR足が買い売りが拮抗することを示す十字線やヒゲの長いコマ足のとき、ブレイクアウトのインパクトが大きい
- 目線と逆方向のNRブレイクアウトが失敗したとき、逆方向のブレイクアウトが直後に発生することがある
注意点として、大きな時間足(1時間足や日足など)ほど機能しやすく、逆に1分足や5分足など小さな時間足ではセットアップとして機能しにくいです。
※5分足でトレードしたい場合は、1時間足NRの高値安値のブレイクアウトを5分足で仕掛けましょう
また、ナローレンジは相場の方向性に関しては中立的なため、このセットアップを単体で利用するのではなく、相場の有利な方向性を分析する他のテクニカルツールと組み合わせてトレードしましょう!
では、具体的なトレード例を実際のチャートで見てみましょう!
ナローレンジを使ったブレイクアウト手法例【NR7】
トレード例1
下のチャートはユーロ円1時間足です。
上昇フラッグのブレイクアウト初期に、NR4パターンを形成しています。
上昇ブレイクアウト発生時のナローレンジは、上方向へのブレイクアウトの成功確率が高く、フラッグブレイクアウトでの買い増しポイントになります。
またNR4を構成する4つのローソク足を見ると、きれいに高値切り下げ&安値切り上げており、ミニトライアングルとなっています。
このように、NRパターンでトライアングルやウェッジなどの継続チャートパターンを形成している場合は、下位足トレーダーのブレイクアウト買いも同時に入ることでセットアップがうまくいきやすいです。
トレード例2
ナローレンジで仕掛ける方向を移動平均線で決定することもできます。
たとえば、下のチャートの1つ目のNR6は3本の移動平均線(10・20・50EMA)の下にあり、戻り売りのセットアップ足として有効です。
また、2つ目のNR5や3つ目のNR4は10&20EMAの上にありますが、50EMAの下にあり、短期的には上昇傾向、長期的には下降傾向の板挟み状態にあります。
こういった方向感がはっきりしない局面でのNRパターンはブレイクアウトが弱いので仕掛けるのは危険です。
トレード例3
似た例をもうひとつ見てみましょう。
下のユーロドル1時間足では、3本のEMAがパーフェクトオーダーを作り、上昇トレンドが発生しています。
10EMA上で押し目買いが入っていますが、四角で囲まれたコマ足はNR7であり、押し目買いを仕掛けるセットアップ足になります。
このブレイクアウトはカウンタートレンドラインのブレイクアウトと重なる、よい仕掛けポイントです。
トレード例4
NR足と1つ前のローソク足でハラミ足を形成している場合は、より強力なセットアップになります。
上のチャートでは、短期下降トレンドの戻しにおいて、NR7&ハラミ足が同時発生しています。
トレード例5
また、ナローレンジは逆張りの仕掛けのセットアップ足としても利用できます。
たとえば、次のオージー円日足では、切り下げ型ダブルボトムの2つ目の安値でNR5(十字線)が発生しています。
NR5の1つ前の足が大きな下ヒゲの陰線で強い買い圧力が生じ、また2つのダブルボトムがフラクタル構造* なっている強力な逆張り買いのセットアップが形成しつつあるため、短期的な上昇を期待した逆張りポイントになります。
* 大きなダブルボトムの2つの谷に、小さな切り下げ型ダブルボトムを形成している
詳細:【FX】2つのダブルボトムを利用した強力逆張りエントリーを伝授!
利食い候補
- 第1:小さなダブルボトムのネックライン水準
- 第2:大きなダブルボトムのネックライン水準