この記事では、ドルインデックス(米ドル指数)について、次の5つの項目を解説します。
ドルインデックスは、FXやCFD市場と相関性が高く、値動きが連動する特徴があります。相関性を利用した使い方も紹介するので、ぜひ参考にしてください!
目次
ドルインデックスとは?【計算式】
ドルインデックスは、6つの通貨に対する米ドルの相対的な価値・強さを数値化した指数です。
ドルインデックスを構成する通貨と、その比重は次の通りです。
構成通貨
- ユーロ 57.6%
- 日本円 13.6%
- ポンド 11.9%
- カナダドル 9.1%
- スウェーデン・クローナ 4.2%
- スイスフラン 3.6%
ドルインデックスの計算式
ドルインデックスの値は、次の計算式にもとづいて算出します。
計算式
$$ドルインデックス = 50.14348112 × EURUSD^{-0.576}×USDJPY^{0.136}$$
$$×GBPUSD^{-0.119}×USDCAD^{0.091}×USDSEK^{0.042}×USDCHF^{0.036}$$
各通貨の価格の指数は、その比重です。
「USD/〇〇〇」の場合は、指数は正の数になり、「〇〇〇/ USD」の場合は、指数は負の数になります。
たとえば、EURUSDの指数は「-比重=-0.576」になります
※ドルインデックスは1973年にFRBによって開発され、1973年3月でのドルインデックスを基準値100とします
ドルインデックスの見方【上がる要因&下がる要因】
ドルインデックスは、米ドルや他通貨との需給バランスの変化により、数値が上下に変動します。
6つの通貨ペアの価格が米ドル高の方向に動くと、ドルインデックスは上昇し、逆に米ドル安の方向に動くと、ドルインデックスは減少します。
基本的見方
- ドルインデックスの上昇:米ドルの価値が高まる
- ドルインデックスの減少:米ドルの価値が低下する
通貨の需給バランス、およびドルインデックスは、次のような各国の金融・経済状況に大きく影響を受けます。
・金融政策
・政策金利
・インフレ率
・景気
・国債の信用格付け
ドルインデックスの上昇要因の例
- 米FRBの利上げ
- ユーロ圏の金融・経済危機
- 米インフレ率の減少
- 米GDPの上昇
ドルインデックスの減少要因の例
- FRBの利下げ
- ECBや日銀の利上げ
- 米国イラン戦争
- 米政府封鎖
- ダウ平均やS&P500の急落
下のチャートは、ドルインデックスの週足です。主な金融イベントでドルインデックスがどのように動いたか見てみましょう。
ドルインデックスとFX通貨・CFD市場との相関性
ユーロは比重が57.6%と高いことから、ユーロドルはドルインデックスと最も相関性が高く、下のチャートのように逆相関性を示します。
ドルインデックスと通貨ペアの関係
- 「USD/〇〇〇」の通貨ペア:ドルインデックスと正の相関関係
- 「〇〇〇/USD」の通貨ペア:ドルインデックスと負の相関関係
ドルインデックスを構成する6つの通貨以外のドルストレートも、ドルインデックスと相関性があります。
たとえば、豪ドル/米ドル(AUD/USD)では逆相関の動きになっています。
また、金や原油などコモディティ市場は米ドル建てであることから、ドルインデックスはコモディティ市場と逆相関の関係にあります。
米ドル建ての例
金:XAU/USD WTI原油:WTI/USD 小麦:WHT/USD
コモディティ市場との関係
- 米ドルが相対的に強くなる(ドルインデックス上昇)と、コモディティ価格は下落しやすい
- 米ドルが他通貨に比べ相対的に弱くなる(ドルインデックス減少)と、コモディティ価格は上昇しやすい
上の理由は、以下の通りです。
輸入企業は、原油や小麦などの商品を米ドルで購入します。
そのため、米ドルが高いと商品が高価になり、需要の低下を引き起こし、商品価格が減少します。
反対に、米ドルが安くなると、1米ドルを交換するために必要な自国通貨が少なくて済むため、需要が高まり、商品価格が上昇します。
ただし、金と米ドルは安全資産の1つであるため、市場でリスクオフムードが強まると、需要が高まって買われやすくなります。
そのため、リスクオフ時は、金価格とドルインデックスがともに上昇する、正の相関関係になる傾向があります。
株式相場は、FXやコモディティと比べてドルインデックスとの相関性はやや低いです。
株式相場との関係
- ・米国の輸出企業や他国の輸入企業は、ドル安の恩恵を受ける
→ ドルインデックスが減少すると、株価は上がりやすい - ・米国の輸入企業や他国の輸出企業は、ドル高の恩恵を受ける
→ ドルインデックスが増加すると、株価は上がりやすい
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ドルインデックスの実践的な4つの使い方
ドルインデックスは、基軸通貨である米ドルの強さを表すため、FX・CFD・株式トレーダーが注目する指標になります。
また、先物・オプション・CFDでドルインデックスそのものを取引することができるため、投機的な値動きも見られます。
そのため、ドルインデックスの値動きはFX・CFD市場の値動きに大きな影響を与えます。具体的な使い方を4つ見てみましょう。
使い方1
ドルインデックスは、キリ番(100、110など)がレジサポラインとして機能します。
ドルインデックスがこの水準に到達すると、FX・CFD相場も見えないレジサポラインにぶつかり、トレンドが終了しやすいです。
下のチャートでは、ドルインデックスは上昇して、90のキリ番水準に到達しています。
一度この水準を上抜けるも、ブレイクアウトは失敗し、キリ番下で3度反発下落し上値が重くなっています。
このとき、逆相関関係にあるユーロドルは下値が重くなり、安値を更新できず短期下降トレンドが終了しました。
使い方2
ドルインデックスがキリ番で止まることなくブレイクアウトするのは、FX・CFDのトレンド相場が継続するシグナルになります。
上のチャートでは、ドルインデックスがキリ番100を上方向にブレイクアウトすると、正の相関関係にあるドル円は上昇トレンドが加速しています。
直近高値の上抜け、またはその反発上昇が買いを仕掛けるポイントになります。
このように、ドルインデックスがキリ番で停止するか、または勢いよくブレイクアウトするかは、FX・CFDのトレンドが終了・継続するかに大きく影響を与えます。
また、その後ドルインデックスが上昇トレンドラインを下抜けると、ドル円相場は上昇トレンドが終了し、レンジ相場へ移行しました。
キリ番だけでなく、ドルインデックスのトレンドラインも、FX・CFDのトレンドが終了するきっかけになるので要注意です。
使い方3
ドルインデックスのブレイクアウトが、FXやCFD相場でのブレイクアウトと同時に発生したり、先行して発生する場合、ブレイクアウトに追随するトレーダーが多く、ブレイクアウトの信頼性が高まります。
下の相場では、ドルインデックスのトライアングルパターンの上昇ブレイクアウトと同時に、ユーロドルではトレンドラインを下方向にブレイクアウトしました。
ただし、ドルインデックスではブレイク方向にキリ番100があります。
この水準に到達すると上値が重くなり、ドルインデックスの上昇が終了する可能性があります。
そして、それに連動してユーロドルもブレイクアウトが停止するため、このタイミングでポジションを手仕舞うのが安全です。
使い方4
ドルインデックスは、FXトレードのリスクヘッジとしても利用されます。
ヘッジ例
ドル円の長期買いポジションの値下がりリスクをヘッジするために、ドルインデックスの先物・オプションの売りポジションを建てる
DJ FXCMドルインデックス&貿易加重指数とは?
DJ FXCMドルインデックスは、ユーロ・日本円・豪ドル・ポンドの4つで構成された米ドル指数です。
それぞれの比重は25%で比重に大きな偏りがないため、日本円や豪ドル、ポンドに対する米ドルの強さを評価しやすいです。
また、貿易加重指数は、発展途上国も含むより広範な米ドル指数で、次の26ヵ国で構成されます。
ユーロ圏 日本 イギリス カナダ スイス メキシコ オーストラリア ロシア 中国 台湾 韓国 シンガポール 香港 マレーシア ブラジル タイ フィリピン インドネシア インド イスラエル サウジアラビア スウェーデン アルゼンチン チリ ベネズエラ コロンビア
各価格の比重は、米国と各国の貿易データに基づいて決定され、毎年更新されます。
貿易加重指数(TRADE WEIGHTED U.S. DOLLAR INDEX)のチャート