この記事では、カナダドルの特徴を解説します。
カナダドル相場の短期的および長期的な相場の方向性を予測するのに役立つので、カナダ円(CAD/JPY)やカナダドル(CAD/USD)を取引している方はぜひ参考にしてください!
目次
関連:【FX】豪ドル(AUD/JPYやAUD/USD)の特徴を徹底解説!
原油相場とカナダドルの関係は?
カナダは世界第5位(2008年)の原油輸出国家であり、カナダ経済は原油市場に大きく依存しています。
1日あたり300万バレル以上の原油(2018年)をアメリカに輸出しており、総原油輸出量の90%以上を占めています。
そのため、原油の価格変動はUSD/CADの為替レートに大きな影響を与えます。
原油市場とUSD/CADは負の相関関係
- 原油価格の上昇→カナダのアメリカへの輸出額増加→為替市場での米ドルの供給量UP*→カナダドルの需要高まり、価値アップ→USD/CADは下落
*カナダの石油会社は、支払いを米ドルで受け取るため、これをカナダドルに交換する必要があります
下のチャートはUSD/CADの5分足で、2014年7月~2016年2月における原油価格の大きな下落で、USD/CADは約4000pips上昇しました。
また、CAD/JPYは原油市場と正の相関関係があります。
日本は原油のほとんどを輸入に頼っているため、原油高が進むと日本経済が悪化し、円の価値が下がります。
原油生産国でもあるアメリカと比べて、日本は原油を海外輸入に依存しているため、CAD/JPYはUSD/CADよりも原油市場との相関性が高いです。
→CAD/JPYはWTI原油と0.8~0.9の正の相関、USD/CADとWTI原油は-0.7~0.8の負の相関
EIA原油在庫統計で原油の需給を読む
EIA原油在庫は、アメリカのエネルギー情報局(EIA)が毎週発表する、米国内の原油在庫状況を表す指標です。
ポイント
- 原油在庫の増加→原油価格の下落→USD/CADの上昇&CAD/JPYの下落
発表された在庫が多ければ原油価格は下がり、また少なければ上がる。ただし多い少ないの問題だけではなく、他の経済指標のように市場の事前予想よりも高いか低いかもポイントとなる。
またアメリカ全体の原油在庫以外にも、クッシングの在庫も重要視されることが多い。クッシングとはオクラホマ州の場所のことで、ここではWTI原油の受け渡しが行われる重要な場所だ。
また、EIA天然ガス在庫統計もUSD/CADの今後の動きを予測するのに役立ちます。
ポイント
- 天然ガス在庫の増加→エネルギー需要の低下→原油価格の下落→USD/CADの上昇&CAD/JPYの下落
他にも、原油関連のニュースやOPEC会議、米国の原油生産量、世界的な原油の需要・在庫状況がカナダドルに影響を与えます。
金利とカナダドルの関係【10年債利回りにも注目!】
アメリカや日本とカナダの政策金利の大小関係は、CAD/JPYやUSD/CADの長期の方向性を決定する要因の1つになります。
- 米政策金利 > カナダ政策金利:ドル高カナダ安 → USD/CAD上昇傾向
- 米政策金利 < カナダ政策金利:ドル安カナダ高 → USD/CAD下降傾向
- 日本政策金利 > カナダ政策金利:円高カナダ安 → CAD/JPY減少傾向
- 日本政策金利 < カナダ政策金利:円安カナダ高 → CAD/JPY上昇傾向
下の画像は、カナダ・アメリカ・日本の政策金利(2008~2020)の比較グラフです。
補足
カナダ政策金利は、カナダ中央銀行によって決定され、年8回変更が発表されます。※インフレターゲット=2.0±1%
カナダ中央銀行会議後の記者会見では、CAD/JPYやUSD/CADなどのカナダドル通貨のボラティリティが高まり、相場が荒れやすくなりやすいので要注意です。
また、長期金利(10年債利回り)の大小関係もカナダドルの方向性を予測する指標になります。
政策金利と同じように、基本的に米利回りがカナダ利回りを上回っており利回り差はほぼ一定ですが、利回り差が変化するとUSD/CADの動きに大きな影響を与えます。
ポイント
- 利回り差が拡大:USD/CADは上昇
- 利回り差が縮小:USD/CADは下降
※利回り差が一定である場合は、10年債利回りがUSD/CADに与える影響はほぼないです
日本の10年債利回りは‐0.2%前後で横ばい推移しています。
そのため、CAD/JPYはカナダ10年債利回りの動きと正の相関関係が見られます。
- カナダ利回りが上昇:CAD/JPYは上昇傾向
- カナダ利回りが減少:CAD/JPYは下降傾向
利回りチャートのページ
VIXとカナダドルの関係
カナダは原油・木材・穀物・鉱物・天然ガスなどの輸出が盛んな国です。
そのため、カナダの経済および、カナダドルは世界経済の景気に大きな影響を受けます。
- 好景気→原油や天然ガスなどの消費量が増加→カナダ経済上向き→カナダドルの価値高まる
- 不景気→原油や天然ガスなどの消費量が減少→カナダ経済下向き→カナダドルの価値下がる
世界経済の先行きは、VIX(恐怖指数)などの市場センチメント指標で測定することができます。
VIX<20:市場は安定しており、リスクオンムードになっています
VIX>30:市場の不確実性が高まり、市場参加者の不安が高まっています。リスクオフの流れに変わっています
VIX>40:市場のリスクは極限に高まっており、非常に危険な相場環境です
そのため、VIXはカナダドル通貨の先行指標として注目されており、特にVIXが大きく上昇するときは要注意です。
VIXが急騰したとき
市場リスクが高まり、コモディティや株などのリスク商品から資金が安全資産へ資金が流れる
→ その結果、コモディティ通貨であるカナダドルの価値が下がる
→ USD/CADは上昇、CAD/JPYは減少する可能性大!
カナダドル通貨と他の通貨ペア・銘柄との相関関係
CAD/JPYと主な通貨ペアとの相関係数は、次のとおりです。
※1に近いほど、正の相関関係が高く、-1に近いほど負の相関関係が高いです
USD/JPY | EUR/JPY | GBY/JPY | AUD/JPY | NZD/JPY | CHF/JPY | ZAR/JPY | CNH/JPY | TRY/JPY | MXN/JPY |
0.56 | 0.67 | 0.7 | 0.92 | 0.88 | 0.12 | 0.91 | 0.64 | 0.66 | 0.94 |
データ期間:過去200営業日(2020年4月2日)
CAD/JPYは、同じコモディティ通貨である豪ドル円(AUD/JPY)やキウイ円(NZD/JPY)と相関性が高いです。
これらは世界経済が好調時に上がりやすく、世界経済が失速すると下落しやすい特徴があります。
また、原油通貨であるメキシコ ペソ・ノルウェー クローネ・ロシア ルーブルとも価格の連動性が非常に高いです。
株価指数や商品先物との相関係数は次のとおりです。(参照:相関係数一覧表|サヤトレ)
NYダウ(0.67)やNY原油(0.57)、ブレンド原油(0.60)との相関係数が高いです。
USD/CADと主な通貨ペアとの相関係数も見てみましょう。
USD/JPY | EUR/USD | GBY/USD | AUD/USD | NZD/USD | USD/CHF | USD/ZAR |
-0.4 | -0.39 | -0.49 | -0.95 | -0.86 | -0.33 | 0.93 |
データ期間:過去200営業日(2020年4月2日)
USD/CADは、EUR/USD・GBY/USD・USD/CHFなどの通貨ペアと負の相関関係です。
特に、AUD/USD・NZD/USDとの負の相関係数が高く、またUSD/ZARとの正の相関係数が高いです。
カナダドル通貨の時間帯別ボラティリティ&月別上昇確率
USD/CADとCAD/JPYの時間帯別ボラティリティは、次のとおりです。
USD/CADは、16~5時の時間帯でボラティリティが高い傾向があります。
特に、北米市場(ニューヨーク&トロント)が開く時間帯、21時~5時のボラティリティが高いです。
関連:【FX】ニューヨーク時間の特徴6選!【順張りで仕掛けてたい4つのパターン】
CAD/JPYは、午前中7時~11時と16時~2時の時間帯でボラティリティが高まりやすいです。
特に、11時と22時台は相場が動きやすいため、絶好のトレード時間帯になります。
また、カナダドル/円の月別の上昇確率&平均騰落率(データ期間:2005年5月~2020年2月)は、つぎのとおりです。
3月・4月は上昇確率が高く、1月・7月・8月は上昇確率が低いです。
上昇確率が50%を超える月は買いメインで、50%を下回る月は売りメインで仕掛けるといいと思います。
アノマリーとして、トレードの1つの判断材料に活用してみてはどうでしょうか?
注目すべきカナダの経済指標
カナダドルに影響を与える、チェックすべきカナダの主な経済指標は次の6つです。
Ivey PMIとは?
景況感を示す経済指標で、カナダの経済の動向を反映しています。
50%が閾値で、この水準を超えると「カナダドルは買い」と判断されます。
また、前月比で大きく下落した場合、カナダ経済の先行きが不透明と考えられ、カナダドルの売り圧力が高まりやすいです。
カナダドルのトレードで役立つおすすめサイト4選!
建玉の推移を分析することで、長期の方向性を把握することができます。
前日や1週間、1か月の価格変動幅のデータを調べることができます。
このサイトでは、カナダ円の過去チャートおよび、経済指標の予想・結果とそのときのカナダ円の値動きを調べることができます。
カナダやアメリカの各経済指標がカナダ円に与える影響度を把握したい方におすすめ!