デイトレードでは、「1日の平均値幅」を考慮してトレードプランを立てることが大切です。
この1日の平均値幅は、今日の相場の値幅の予測や値動き余地の調査などに利用することができます。
そこで今回は、「1日の平均値幅」をデイトレードで活用する方法を3つ紹介します。
目次
- 1日の平均値幅を測定する3つの方法
- 1日の平均値幅を利用した3つのトレード戦略
・相場の値動き余地分析
・隠れたレジサポラインの発見
・今日のレンジ幅の予測
1日の平均値幅を測定する3つの方法
FXでの各通貨ペアの1日の平均値幅を調べる方法は、次の3つがあります。
- ボラチェッカー
- 日足のATR
- Average Daily Rangeインジケーター
過去のボラテリティデータが豊富!ボラチェッカー
「ボラチェッカー」は、為替相場のボラティリティ(1日の平均値幅)の各種データが見れるサイトです。
期間別日平均ボラテリティ
週間や月間・3ヶ月などの期間別の、1日の平均値幅が見れます。特に、週間別や月間の1日平均値幅が重要です。
直近30日分データ
直近30日分の値幅データも確認できます。
このデータをエクセルに取り込んでグラフ化すれば、下グラフのように1日の値幅の増減や傾向を視覚的に分析することができます。
また、このサイトでは2010年1月から現在までの過去データも保管されているので、過去チャートを使った値幅研究に活用してください。
日足のATR
日足のATR(アベレージ トゥルー レンジ)インジケータで、1日の平均値幅を測定することもできます。
たとえば、日足チャートに表示したATR(期間20)の数値は、直近20日間での「日足ローソク足1本の値幅の平均」つまり「1日の値幅の平均値」を表します。
ATRの数値データは、十字カーソルを使って読み取ることができます。上のチャートでは、現在(2019年6月26日)のATR値は0.5014円です。
また、ATRの期間を変えることで、様々な期間における値幅平均値を調べることができます。たとえば、さらに直近におけるボラテリティを調べたい場合は、「期間5」(直近1週間)のATRを使いましょう。
Average Daily Rangeインジケータ
Average Daily Rangeは、1日の平均レンジ幅を自動で算出してくれるインジケータです。
詳しい使い方や、MT4でのインストール方法は下記の記事を参考にしてください。
関連 Average Daily Rangeとは?デイトレーダー必見の使い方紹介!
1日の平均値幅を利用した3つのトレード戦略
デイトレードでの1日の平均値幅の使い方は、次の3つがあります。
・相場の値動き余地分析
・隠れたレジサポラインの発見
・今日のレンジ幅の予測
相場の値動き余地を分析
1日の平均値幅(ADR)と今日のレンジ幅を比較することで、今日の相場の残りの値動き余地を予測することができます。
そして、値動き余地を把握すれば、目の前のトレンドの継続性やブレイクアウトの成功確率などのヒントが得られます。
※今日のレンジ幅(TR)=今日の最高値ー最安値 (Today's Range)
今日のレンジ幅は、上のチャートのように十字カーソルを使って測定することができます。
値動き余地分析
ADRとTRの大小関係で、値動き余地を調べることができます。
ADR>TR
今日の相場はまだ平均値幅に到達していないので、新高値or新安値を更新する値動き余地があります。
この差が大きいほど、相場が動く余力が残っています。そのため、10pips以上あればトレンドフォローやブレイクアウト手法が有効と考えられます。
関連 【FX手法】東京&ロンドン時間のレンジ相場は、NY時間のブレイクアウトで大きく動く!
ADR≦TR
すでに平均値幅に達しているので、残りの相場でさらに動く可能性は低いです。
順張りで仕掛けるのは危険で、逆張り手法に絞ってトレードするのが安全です。
この値動き余地分析は、下記のように昼以降に行うのが効果的です。次の市場が開く直前に行い、昼または夜のトレードプラン作成に役立ててください。
ADR‐TRを測定&比較するタイミング
専業トレーダー:ヨーロッパ市場がオープンする15時頃
兼業トレーダー:ニューヨーク市場がオープンする21時頃
では、実際のチャートを使って具体例を2つ見てみましょう。ここでは、ADRの数値に日足ATR(20)を使っています。
具体例1
上のチャートは2019年7月9日16時5分時点でのオージ円5分足と日足チャートです。この時点でのTRは28.3pipsで、ADRは51.6pipsです。ADR>TRであり、23.3pipsの値動きの余白があります。
そのため、現在発生している下降トレンドは、さらに新安値を更新してトレンドが継続する可能性があります。値動き余地の観点から、このポイントではさらに売りを仕掛けてもよいと判断できます。
下のチャートはヨーロッパ市場オープン後のチャートです。さらにトレンドは進行し、61.3pipsの大きな下降トレンドになりました。
このように、レンジ幅がADRより小さいトレンド相場では、順張りトレードは有効です。
具体例2
上のチャートでは、ADRは4.8.8pip、TRは51.8pipsでレンジ幅が平均値を10pips以上超えています(ADR<TR)。そのため、この下降トレンドでの戻り売りは失敗する可能性が高く、エントリーを見送るほうがよいです。
下の画像は、その後のオージ円チャートです。戻り売りは騙しになり、トレンドが反転しています。
このように、すでにADRに到達している相場では、トレンド方向に仕掛ける順張りトレードは避けたほうが良いです。
隠れたレジサポラインを見つける
1日の平均値幅を利用すれば、デイトレで使えるレジスタンスライン・サポートラインを算出できます。
このレジサポラインは、短期の逆張りや利食いポイントとして利用できます。
ADRを使ったレジサポラインの引き方
現在の相場が上昇しているか下降しているかで、次のように引き方が異なります。
- 相場が上昇中:今日の最安値の水準に、ADR値を足した水準がレジスタンスライン
- 相場が下降中:今日の最高値の水準に、ADR値を引いた水準がサポートライン
具体例1:下降トレンドの利食いポイント
上のチャートは2019年5月15日のドル円5分足です。この日のADR値は、日足ATR(20)から52.16pipsと読み取れます。
現在下降トレンドが発生しているので、「今日の最高値ーADR値」でサポートラインを引きました。
上のチャートは、その後のドル円相場です。サポートラインに到達するもダブルボトムを形成し、トレンドが反転しています。もし売りポジションを保有している場合は、このサポートラインで利食いしましょう。
もちろんあくまで平均値から算出した水準なので、トレンドの勢いが強い場合このレジサポラインを抜けてさらにトレンドが進行することもあります。
具体例2:急落相場の逆張り買いトレード
急落相場では、1日の平均値幅で求めたサポートライン到達で勢いが止まり、反転上昇する傾向があります。
価格が2回このサポートライン上で反発したら、逆張り買いを仕掛けるタイミングです。ストップロスをこのラインの下に隠し、トレイリングストップ戦略で利益を最大限引き伸ばしましょう。
今日のレンジ幅を予測
直近のADR(1日の平均値幅)の推移を見れば、前日のレンジ幅に対して、今日のレンジ幅がそれより大きくなるか小さくなるかを推測する情報が得られます。
そして、その推測により、今日のレンジ幅がどれくらいになるかある程度予測することができます。
ADRの推移は、上で紹介した日足のATRラインで確認することができます。
上の日足チャートのように、直近のATRが上昇トレンドを形成している場合はボラが拡大しているため、今日のレンジ幅は前日のより大きくなると予測されます。
このように、レンジ幅が拡大されると予測される日は、トレンド相場ではトレンド方向に価格が伸びやすく、またレンジ相場では活発に上下動して逆張りしやすい相場になり、デイトレ日和の相場環境といえます。
また、下のチャートのように、直近のATRが下落している場合はボラが縮小しているため、今日のレンジ幅は前日のより小さくなると予測されます。
レンジ幅が縮小されると予測される日は、トレンド相場では調整局面に移行しやすく、またレンジ相場では値動きが小さい停滞相場になりやすいです。
デイトレードに向かない日なので、別の通貨ペアでトレードするようにしましょう。
※ATRによるボラティリティ分析は、ATRボリンジャーでパターン化することができます。詳しくは、「相場のボラティリティを丸裸にするATRボリンジャー使い方を徹底解説!」を参考にしてください。