この記事では、MACDヒストグラムの使い方や見方を解説します。
これは、MACDのクロスやダイバージェンスの精度を高めることができる便利な指標なので、MACDを利用している方はぜひ参考にしてください!
目次
MACDヒストグラムとは?
MACDヒストグラムは、MACD線とシグナル線の距離を数値化した指標です。
計算式
MACDヒストグラム = MACD線 - シグナル線
= 短期EMA - 長期EMA - [短期EMA - 長期EMA]のSMA
MACD線と同じように、MACDヒストグラムも0レベルを中心に上下に変動します。
MACD線が増加してシグナル線から上方に大きく離れるほど、ヒストグラムは増加します。
逆に、MACD線とシグナル線の距離が収縮すると、ヒストグラムは減少して0に向かいます。
- MACD線がシグナル線を超える:ヒストグラムは正
- MACD線がシグナル線を下回る:ヒストグラムは負
MACD線とシグナル線のGC:ヒストグラムが0レベルを上抜け
MACD線とシグナル線のDC:ヒストグラムが0レベルを下抜け
また、MACD線とシグナル線の距離が最大になるポイントは、ヒストグラムが極大値・極小値になります。
トレンドの勢いを解析
MACDヒストグラムの大きさ・方向を見ることで、トレンドの勢いの変化を解析できます。
1.ヒストグラムの方向性
上昇トレンドにおいて、MACD線が大きく上昇してシグナル線との距離が離れるほど、トレンド方向への勢いが高まっていることを示唆しています。
このとき、MACDヒストグラムは上昇しています。
逆に、MACD線の上昇率が低下してシグナル線との距離が狭まるのは、価格の上昇力が弱まっていることを示唆しています。
つまり、0レベル以上で上昇していたMACDヒストグラムが減少に転じると、押し目に入る可能性が高いです。
上昇トレンド
- ヒストグラム上昇:上昇の勢い増加中
- ヒストグラム反転減少:上昇力弱まり、調整下落に移行
2.ヒストグラムの極大値・極小値
ヒストグラムの極大値・極小値は、トレンドの高値・安値に対応しています。
そして、トレンド相場において、ヒストグラムが0レベルへ回帰する動きを見せたら、押し目買い・戻り売りの利食いタイミングになります。
※MACDヒストグラムの転換は、上のチャートのようにバーの色が変化するようにすると捉えやすいです
また、ヒストグラムの極大値・極小値の大きさは、トレンドの強さを表します。
下のチャートのように、ヒストグラムの山の個数が多かったり、極大値が相対的に大きい場合は、買いが優勢であり上昇トレンドが発生していることが多いです。
3.トレンド終了の兆候
トレンドの衰退を示唆するシグナルは、次の3つがあります。
これらが発生したら、トレンドの終わりが近いので要注意です。
3つのシグナル
- トレンドと反対方向に、大きなヒストグラムの山(谷)が発生する
- トレンド方向のヒストグラムが縮小する
- ダイバージェンスが発生する
MACDヒストグラムのダイバージェンスは3種類あり!
MACDヒストグラムのダイバージェンスは、次の3つがあります。
1.MACD線との逆行
ヒストグラムの高値が切り下がっているのに対して、MACD線の高値が切り上がっています。
このとき、価格も切りあがってるので、従来のMACDではダイバージェンスが発生していません。
このように、MACDのダイバでは検知できないトレンド転換をヒストグラムのダイバージェンスが検知してくれます!
2.価格との逆行
上昇トレンドで高値が切りあがっているのに対して、ヒストグラムの高値が切り下がっています。
このとき、MACDのダイバも同時に発生していると、ダイバージェンスの信頼性が高まります。
3.ヒストグラムの切り上がり・切り下がり
ウェッジパターンのブレイクアウト後、MACD線は上昇しているのに対してヒストグラムは下落しており、2つの動きが逆行しています。
これも相場の勢いが弱まっているシグナルになります。
その直後、ブレイクアウトは勢いを失い、トレンド転換しています。
上の2つのダイバージェンスと違い、このダイバはトレンド転換につながることが少ないですが、トレンド途中のレンジ・もみ合い相場に移行するシグナルになることが多いので要注意です。
応用
MACDとシグナル線のクロス時に、MACDヒストグラムのダイバージェンスが発生していると、トレンドが終了・反転する確率が高まります。
MACDクロスの精度を上げたい方は、ヒストグラムのダイバが同時に発生しているクロスに絞って利用してみてはいかがでしょうか?
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ヒストグラムのクロスは早期シグナル!
MACDの欠点の1つとして、ゴールデン/デッドクロスの発生タイミングがやや遅いため、ポジションの仕掛けや手仕舞いが遅れることが挙げられます。
MACDヒストグラムとそのSMA(9期間)のクロスは、MACD線&シグナル線のクロスより発生タイミングが早いため、この問題を解決してくれます。
エントリーや利食いでの早期シグナルとしておすすめ!
上の相場では、上昇トレンドが発生しており、押し目買いトレードのチャンスです。
MACD線とヒストグラムそれぞれのクロスの発生タイミングを比べてみましょう。
比較
・MACD線のゴールデンクロス:押し目で反発上昇後に遅れてシグナルが発生している
→損切水準から離れたエントリーになるため、損益比率が悪化してしまいます
・ヒストグラムのゴールデンクロス:MACDのクロスより早く、押し目の底に近いポイントで発生している
→損益比率が良い、押し目買いの仕掛け
関連:FXで損益比率を自動計算して、チャートに表示する5つの方法
また、ヒストグラムのデッドクロスは、上昇トレンド相場での利食いシグナルとして活用できます。
MACD線のデッドクロスより早く、価格が反転する直後のトレンド高値圏で利益確定できます。
注意点
ヒストグラムのクロスは発生タイミングは早いですが、シグナルの精度はMACD線のクロスと変わらないです。
そのため、精度を上げるためにほかのインジケーターを見るなど、ダマシを回避する工夫が必要です。
また、ブレイクアウト手法でも利食いシグナルとして利用できます。
上のチャートのように、ブレイクアウト終了直後に利益確定して、大きな利食い幅を確保できます。
ヒストグラムでMACDのクロスを予測!
MACDヒストグラムの極大値(極小値)は、MACDのGC・DCよりローソク足数本先に発生する傾向があります。
そのため、MACDヒストグラムの極大値(極小値)は、MACDのGC・DCの発生を事前に予測するサインになります。
MACDヒストグラムのMT4・MT5インジケーター
MT4やMT5でMACDヒストグラムを利用したい方は、下記の記事でインジケーターを紹介しているのでよければ参考にしてください。
【MT4】MACDのおすすめインジケーター9選!
【MT5】MACDインジケーター8選!