フィボナッチ・リトレースメントを正しく引く上で、押さえておくべきルールはご存知ですか?
フィボナッチ・リトレースメントは多くの市場参加者が引くポイントで引いてこそ、レジサポラインとして効果を発揮します。
自分勝手な引き方では、一貫して効果的なラインは引くことができません。
そこでこの記事では、フィボナッチ・リトレースメントの引き方をマスターできるように徹底解説しました。引き方に自信がない方や精度を上げたい方にオススメの記事になっています。
【FX】フィボナッチ・リトレースメントの基本的な引き方は2つある!
フィボナッチ・リトレースメントの引き方は2つあります。順に紹介します。
引き方のルール1
フィボナッチ・リトレースメントは、トレンド時の押し目・戻りの反発ポイントを予測するツールです。
そのため、「トレンド発生時に、トレンド方向に引く」ことが重要。
方向が不安定なレンジ相場では、どの基点で引けばいいか曖昧なため、フィボナッチ・リトレースメントは機能しにくいので基本引きません。
上昇トレンドの場合
- 上昇トレンドの発生を確認する
→ たとえば、高値安値の切り上げや20MAの上向き上昇で、上昇トレンドの発生を捉えます - 始点となる安値からトレンド最高値に向かって引く
→ 安値をフィボナッチ0%、高値を100%に合わせる
下降トレンドの場合
- 下降トレンドの発生を確認する
- 始点となる高値からトレンド最安値に向かって引く
→ 高値をフィボナッチ0%、安値を100%に合わせる
難しいのは、「始点」となる高値安値の選び方です。高値安値の定義が苦手な方は、ZigZagというインジケータを利用するのがおすすめ。
下のチャートのように、ZigZagは高値安値を自動で表示してくれます。この高値安値をフィボナッチの始点すれば、始点選びに悩む必要はなくなります。
もう1つの始点選びの方法は、「フィボナッチライン23.6% を斥候に使う」ことです。
つまり複数の始点候補のうち、フィボナッチ23.6%で価格が反発する(=多くのトレーダーが注目している)ものを、始点とするのです。
少し分かりにくいと思うので、下のチャートで解説します。
上の上昇トレンドでは、始点の候補となる安値は3つあります。
各始点をもとにフィボナッチを引いてみて、どの安値を始点にするとフィボナッチ23.6%水準がレジサポラインとして機能するか確認しましょう!
今回は始点候補3の水準でローソク足がきれいに反発しており、このフィボナッチが注目されていると考えれらます。
引き方のルール2
- 大きなスパイクの発生を見つける
→ スパイクの上昇(下降)の角度の目安は、60度以上 - そのスパイクの最高値・最安値を基点に引く
大きなスパイクとは、急激な価格上昇や価格の急落のことです。
チャートの目立つスイング波は、多くのトレーダーがその高値安値を起点にフィボナッチ・リトレースメントを引く傾向があります。
下降スパイクの例
上昇スパイクの例
この引き方はルール1と比べ裁量性が求められるため、実践で何度も引いて経験を積む必要がありますが、実践で使える引き方なのでぜひ使ってみてください!
フィボナッチの引き方 7つのルールを伝授!
フィボナッチの引き方は、相場の状況ごとにどう引けばよいか迷いませんか?
次に紹介する7つのルールを使えば、あらゆる相場パターンで迷うことなく、誰でも客観的に引くことができます。
なお、フィボナッチの基点をカンタンに見つけることができるように、チャートにZigZagを表示しています。
7つのルール
- トレンド相場では、直近の推進波を基点に引く
- トレンド相場では、直近の2つの推進波を基点に引くのも有効
- ABC調整波を基点に引く
- トレンド転換では、前回トレンドの最高値・最安値を基点に引く
- レンジ相場では、レンジの最高値・最安値を基点に引く
- 突出した大きな波を基点に引く
- 上位足チャートで、ルール1~6のフィボナッチを引く
では、順に詳しく解説していきます。
ルール1:トレンド相場では、直近の推進波を基点に引く
推進波とは、トレンド方向に進む波(スイング)を指します。この基点で引いたフィボナッチは、押し目買い・戻り売りの重要なエントリー水準になります。
- 上昇トレンド:直近の推進波の安値を始点に、高値を終点にフィボナッチを引く
- 下降トレンド:直近の推進波の高値を始点に、安値を終点にフィボナッチを引く
上のように、チャートにZigZagを表示すれば、相場の推進波がカンタンに認識できます。
その後、価格はフィボナッチ38.2%で3回反発し、大きく上昇しました。
ちなみに、フィボナッチの同水準での3回連続の反発は、そのラインが強いサポートラインであることを示唆しています。強力な買いシグナルなので、ぜひ参考にしてください。
ルール2:トレンド相場では、直近の2つの推進波を基点に引くのも有効
ルール2は、ルール1の補足です。使い方は次の2つがあります。
①1つ目の推進波(ルール1)が小さい時、2つの推進波の高値・安値を基点に引く
②ルール1のフィボナッチと併用して使う。2つのラインが重なったゾーン(コンフルエンス)は、強力なレジサポラインになります。
上の1時間足チャートでは、ルール1と2の、2つのフィボナッチリトレースメントを引いています。
1つ目のフィボナッチ50.0%と2つ目のフィボナッチ38.2%が近接し、強力なサポート帯を形成しています。
このポイントを5分足でみてみましょう。
5分足では下降トレンドが発生していますが、このコンフルエンス上では、売りを仕掛けるのは危険です!買い圧力が高いので、売りシグナルの騙しが連発しやすいです。
ルール3:ABC調整波を基点に引く
- 上昇トレンド:A波の高値を始点に、C波の安値を終点に引く
- 下降トレンド:A波の安値を始点に、C波の高値を終点に引く
このフィボナッチ水準で価格が反発する場合、トレンドが終了してトレンド転換やレンジ相場になる可能性が高いです。
上のチャートでは、下降トレンドでのABC調整波の高値・安値を基点にフィボナッチを引いています。
フィボナッチ50.0%で2回反発し、ダブルボトムを形成。その後、勢いよく上昇して、上昇トレンドが発生しました。
ルール4:トレンド転換では、前回のトレンドの最高値・最安値を基点に引く
このフィボナッチは、トレンドの進行方向にあるレジサポラインとして注目されています。使い方は次の2つがあります。
使い方
- トレンドの目標水準 → トレンドフォローの利食いの候補
- トレンドの押し目買い・戻り売りの仕掛け
たとえば、上昇トレンドが終了し、下降トレンドが発生した場合、上昇トレンドの最安値・最高値を基点にフィボナッチを引きます。
上のチャートでは、フィボナッチ61.8%の付近で、買い売りの激しい攻防レンジを形成しています。
このフィボナッチ61.8%水準は、買い勢力の最終防衛ラインでもあり、この水準を完全に下抜けると大きな下落が発生しやすいです。
また、ルール4はルール1や2で引いたフィボナッチと組み合わせて使うことができます。上のチャートに、ルール1のフィボナッチを引いてみましょう!
ルール5:レンジ(もみ合い)相場では、レンジの最高値・最安値を基点に引く
上のチャートでは、レンジの下限を始点に、レンジの上限を終点として、フィボナッチを引いています。
このフィボナッチの各水準は、レンジ内部のレジサポラインとして機能します。
使い方例
- レンジ内部での小さな反転を狙った、逆張りのスキャルピング
- レンジ内部で発生したミニトレンドでの、順張りトレード
ルール6:突出した大きな波を基点に引く
大きさが平均以上の波は注目度が高く、その高値安値を基点としたフィボナッチはレジサポラインとしてよく機能します。
ポイント
- 波の大きさは、ZigZagのラインの長さに注目!
- 直近5~10本の波の大きさと比べ、非常に大きな波が発生していないか探す
- 大きな波のフィボナッチゾーン内に価格が入ると、レンジ相場になりやすい
ルール7:上位足チャートで、ルール1~6のフィボナッチを引く
上位足の波を基点に引いたフィボナッチは、下位足チャートで強力なレジサポラインになります。
たとえば、5分足デイトレーダーの場合、1時間足チャートのフィボナッチも5分足に表示してみましょう。
5分足では強力なレジスタンスラインになっています。
こういった上位足の強いレジサポラインでは、次のような逆張りのシグナルが発生しやすいです。逆張りの仕掛けツールとして活用してみてください!
※フィボナッチリトレースメント、ファン、タイムゾーンなど、TradingViewではフィボナッチツールをいろいろ利用できます!
リトレースメント | ファン | タイムゾーン | アーク | エクスパンション | チャネル | サークル | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
TradingView | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
もう迷わない!100%客観的にフィボナッチを引く方法5選!
フィボナッチリトレースメントを手動で引く場合、一貫性や客観性を保って引くことは難しく、実際のチャートで何度も引いて場数を踏むことが必要です。
しかし実は、100%客観的に高精度のフィボナッチリトレースメントを引く方法が5つあります。
自動でサクッと引きたい方や、引き方を研究したい方におすすめ!ぜひ参考にしてください。
1.前日高値安値を基点に引く
誰でも同じ基点でラインが引けるため、「前日高値安値」を基点にしたフィボナッチラインはレジサポラインとしてよく機能します。
この方法は客観的に引けるので、多くのデイトレーダーが好んで使い、注目している水準の1つになります。
大衆心理が働きやすいポイントになるため、エントリーや利食い、損切りに利用することができます。
特に次の2つの条件を満たすとき、注目度が高いです。
- 日足で上昇(下降)トレンドを形成
- かつ、前日の日足ローソク足が陽線(陰線)
フィボナッチの引き方は、次のとおりです。
引き方
- 前日の日足が陽線のとき:前日安値を始点、前日高値を終点に引く
- 前日の日足が陰線のとき:前日高値を始点、前日安値を終点に引く
上のチャートは、「日足上昇トレンド+日足陽線」での前日高値安値を基点に引いたフィボナッチです。
もう2つ例をみてみましょう。
上の日足&5分足チャートは、「日足下降トレンド+前日の日足陰線」での前日高値安値を基点に引いたフィボナッチラインです。
翌日の5分足相場では、ローソク足がフィボナッチ61.8%水準下で約5回反発しており、この水準が強力なレジスタンスとして機能しています。
次のチャートでは、前日14日の日足は陽線なので、フィボナッチリトレースメントは前日安値から前日高値に向かって引いています。
今回のように、フィボナッチリトレースメント38.2%~61.8%のゾーン内に価格が入り込んだ場合、価格はゾーン外になかなか抜け出せず、もみ合い相場になりやすいです。
フィボナッチゾーンでのもみ合い相場でのトレード戦略として、フィボナッチリトレースメントでの反発を利用した逆張りがあります。
フィボナッチを使ったトレード戦略
- フィボナッチリトレースメント61.8%水準のブレイクアウトの失敗が発生してます。
このブレイクアウトの失敗によるゾーン回帰を利用して、61.8%水準内に価格が戻ってきたら、買いエントリーします - フィボナッチリトレースメント内でもみ合っている相場では、38.2%や61.8%水準での逆張りがおすすめ
→ 1回の反発でしかけるのはダマシが多いので、リスクが高いです。逆張りで仕掛けるダマシを回避するために、ダブルボトム(WB)やダブルトップ(MT)の形成で仕掛けるのが有効です
※MT4ツール『MT4裁量トレードアシスタント』では、チャートに引いたフィボナッチリトレースメントや水平線、トレンドライン、図形(長方形)に価格がタッチしたりブレイクアウトするとアラートで知らせたり、保有ポジションの自動決済ができます!
他にも、専用のパネルからストップラインを引けば、リスク率に基づくロット数を自動で計算してくれます。
2日前の最高値&最安値
当日の相場が2日前のレンジ内にある場合は、「2日前の最高値&最安値」を起点にフィボナッチを引きましょう。
上のチャートは、縮小したポンド円5分足です。当日の相場はこのフィボナッチ水準で上下に反発し、乱高下したレンジ相場になっています。
また、下のように「1.前日高値&安値」のフィボナッチラインと併用することもできます。
補足
3.今日の最高値&最安値
下の5分足では、今日の最高値を始点に、今日の最安値を終点としてフィボナッチを引いています。
フィボナッチとトレンドラインの重なるポイントが短期トレードのエントリーポイントになります。
4.先週の最高値&最安値
次のチャートはユーロドル4時間足で、先週の最高値と最安値を起点にフィボナッチを引いています。
1時間足や4時間足レベルのレジサポラインとして機能するため、スイングトレーダーにおすすめの引き方です。
右上のチャートは今週の1時間足で、各フィボナッチ水準できれいに反発を繰り返し、階段状の上昇トレンドを形成しています。
また他にも、「今週の最高値&最安値」を起点にするのも有効です。
5.ピボットポイントやキリ番の隣りあう2つの水準
隣り合うピボットポイントの水準やキリ番の水準を起点に引いたフィボナッチリトレースメントも注目されます。
下のチャートでは、ピボットライン&ピボットR1の2つの価格水準をもとに引いています。
関連:【FX】ピボットポイントの戦略・使い方をまとめて解説!
次のユーロ円チャートでは、キリ番122.0円と122.5円を基準にフィボナッチを引いています。
※また、自動でフィボナッチを引いてくれるMT4・MT5インジケーターを利用するのもおすすめです。
たとえば、下のチャートでは「Auto Fib」というインジケーターでフィボナッチを自動表示しています。
詳しくは、下記の記事で紹介しています。